[覗く男]

霊的な話ではありませんが、小学校5年ぐらいのときに体験した恐怖体験です。
私は母子家庭でその当時は木造の古いアパートの1階に母親と2人で住んでいました。
アパートは小さな通りから更に奥に入った袋小路に建っていました。
夜中にふと目を覚ましてベランダではなく通路側の窓の方を見るとカーテンが閉まっているけど、かなり隙間
があってその隙間から顔がチラチラと見えました。
その窓はザラザラの模様が入っていて中が見えないようになっているけど、一番上だけは普通のガラスなので
表においてある洗濯機の上に乗ると中が覗けます。
私は恐怖に慄きながら布団の中から声も発せず、じっとその方向を見ていました。
表にいるのはボウズ頭の男で、通路には外灯も点いているので中の様子は暗くてよく見えないらしく、しきりに
顔を動かして中を見ようとしていました。

そして手を日差しを遮るように目の上に当てて覗いて来たのですがナイフのようなものを持っていて外灯に当たって
その男の頭の脇でギラギラと光っていました。
怖くて怖くて布団の中で半べそになりながら、早く諦めてくれと願うばかりでした。
男は中は見えていないみたいですが、窓を開けようとしているらしく、木製の窓が力が加わるたびにギッときしむ音を立てていました。
わたしは布団の中で汗びっしょりです。たぶん時間にして2〜3分ぐらいだったと思いますが2時間ぐらいに感じました。
男は諦めて行きましたが、今でも窓から覗く男の光景がトラウマになっています。

余談ですが男が去った後に泣きながら母親を起こして訴えました。母親は眠たそうに夢でもみたんだろうから早く寝なさいみたいな
ことを言っていたのですが、そのとき近所からギャーという女の叫び声が聞こえて、飛び起きました。
そのあとは警察は来たりすごい騒ぎになりました。
うちの洗濯機にも足跡がクッキリとついていたのを覚えています。


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