[ビジョン]

俺の地元は結構な田舎で子供の頃に森でよく遊んでた
その時に古びた公民館っぽい廃屋を見つけたんだ
塞がれてたし入る勇気もなかったので入らずに子供時代が終わった

ふと高校時代にそれを思い出して少しヤケッパチに廃屋に入ったんだ
ドアをこじ開けてみると中は薄暗くで空気はどんよりしてて少し躊躇った
でもその時は少し自棄になってた事もあって入ったんだ
陽の光が差し込んでたから歩けない程じゃなかったけど床はボロボロ
途中まで進むと今となっては曖昧だが地震のような響く音がした
ビビッて辺りを見回したけど己を殺し進んでいった
ある部屋に入ると急に明るく狭くて落ち着いた部屋があってちょっとホッとした
本がたくさん書斎置いて蜘蛛の巣がびっしりだった
廊下を挟んだ向かい側には扉があってあけるとさっきとは違い真っ暗で見えるのは
二階に続く階段だけだった。本当に階段だけが見えて周りは深淵の闇が広がるだけ
10段くらい階段をあがり踊り場に着くと途轍もない威圧感や恐怖感が襲ってきた
そこで立ったまま金縛りに遭い想像が膨らんで恐怖で精神が死にそうだった

俺はその時に不気味なものを見た
見たといっても不思議で視野に現れたのでもなく、夢のように映像になったのでもなく
脳に視覚を通さず直接インプットさせたみたいな感じ
地が割れ黒い筒が現れて
筒を破り2メートルくらいの赤い鳥や黒いブヨブヨした生物や凶暴な猿が地に溢れ
人々を食べつくす光景
映画やゲームじゃ比べ物にならないほど実際に体験してみないと味わえない恐怖を味わった
もちろん実際に体験してないが忘れた記憶が鮮明に蘇った時のような

今は薄れたけどあの時感じたあの想いは忘れられない


次の話

Part185menu
top