[転生]
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権さんの話だと、ビデオの男達は変態向けのエロビデオやエロ写真を撮って裏に流していた業者らしい。
そのビデオでは終始スカートを履いていたし、はだけて見えた胸も膨らんでいたので気付かなかったが、少女は・・・少年だったのだ。
この二人の犯罪の発覚は非常にショッキングだった。
モーテルの部屋で惨殺されていたのだ。
死体はかなり凄惨な状態だったようだ。
背後から銃で撃たれたあと、ナイフで切り刻まれていた。
警察によって被害者宅から無数のキッズポルノのビデオが発見された。
犯行現場に残されたビデオカメラに入っていたテープにファックシーンと共に惨殺シーンが映されていた。
違法な児童ポルノで荒稼ぎした鬼畜共は、スナッフビデオに出演してその一生を終えたのだ。
この事件は一時期、児童ポルノ業者が殺された事件として報道もされたらしい。

この2人を殺したのが彼だった。
ビデオ出演は男娼が多く立つ街角に立っていて目を付けられたらしい。
少年・種憲は「被害者」として保護観察となった。
長い期間、精神病患者として入・退院を繰り返し、保護観察期間が終ると家族と共にカナダに移住した。
キムさんはカナダの在住韓人コミュニティーの紹介でカナダに渡ったのだ。
種憲の家族構成は、養父の白人男性、韓国人の伯母。
夫妻が妻の妹の子供を引き取る形で養子となった。
渡米時の年齢は12歳。
事件は15歳の時に起したものだった。

俺は権さんに「ボディーガードなら俺より他の3人の方が適任だと思いますが」と言った。
しかし、権さんは「いや、あいつらには無理だ。
奴らは確かに腕は立つ。
ルールのあるスポーツなら私もあんたもまず勝てない。
でも、スポーツマンじゃ駄目なんだ。
パン・チョッパリは、土壇場で芯がないから駄目だ。
今回は使えない。殺されるのが落ちだ」と言った。
・・・酷い言い草だな・・・しかしそんなにヤバイのか?
「詳しい話は社長に聞いてくれ。
正直な所、私はこの仕事を下りたいよ。
虎と一緒の檻に入って見張るようなものだ。マトモな奴には無理だよ」
・・・無茶言うな・・・俺はマトモじゃないってか?・・・それも酷いような・・・

数日後、キムさんが帰国した。
そして、更に1週間後、問題の彼と母親のバーク夫人が来日した。

キムさんとバーク夫人の話を総合すると、大まかにはこう言うことだった。

彼がバーク夫妻に引き取られたのは韓国で彼が家族を失ったからだった。
彼は9歳の時に当時3歳の弟を事故で失っている。
その後、両親は離婚し、彼は母親に引き取られた。
11歳の時に父親が火事で死亡し、その後すぐに母親も自殺している。
彼の家は父方は祖父の代で一族から絶縁されており、父親に兄弟は居なかった。
母親には親族が居たが、彼の父親とは族譜上の問題があったらしい。
一族の反対を押し切る形で結婚した為、夫と同じく絶縁されていた。
彼を引き取り養育する者は、バーク氏と結婚して渡米した伯母しか居なかった。
バーク夫妻には子供はなく、彼は夫妻に歓迎された。
バーク家に来た当初、彼は一見普通の少年だった。
しかし、すぐに異変は起こった。

続く