[エンジェル事件]
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先生には1つの強力な悪霊がついている。その霊に吸い付けられる様に様々な人間や動物や謎なものの霊が集まっているのだという。
その強力な悪霊は先生を不幸に貶めるだけの力も十分に持っていると親父は言っていた。
親父は後日、先生に電話で連絡して教会に遊びに来るように自然に呼びかけた。
先生はやはりエンジェル様事件から身近にポルターガイスト現象のようなものが起こり始め悩んでいると打ち明けてくれた。
それは前回、生徒たち来た後も変わらず続いているらしい。 一番相談したかったのは先生だったのだ。
親父は先生に「この世に幽霊など存在しない」と説教をはじめ、まさしくキリスト教の司祭としての説教を始めた。
これには正直、驚いた。 親父の口から幽霊が存在しないなどという言葉は聞いたことがなかったからだ。
その後も先生は仕事終わりになんども教会に顔を出すようになり親父の説教を熱心に聞いていた。
だがポルターガイスト現象は一向に収まらないと悲痛な面持ちで泣きながら話していた。

先生が通い始めて1ヵ月、シビれを切らした俺は親父になぜ先生を除霊してやらないのか聞いてみた。(わかりやすく伝えるために除霊と書きます)
親父はやれやれといった顔をしながら「先生に憑いているのは自分本人の生霊だ」と答えた。
親父いわく生霊はもっともタチが悪く払うことはほぼ不可能。しかも自分自身の生霊をまとってしまうと最悪、自殺してしまうことが多いらしい。
生霊も霊なのでほかの霊を吸収する。しかし原初の意思をいつまでも持ち続けることが多いので(意思の発信源が生存しているため)
その霊の大きさ(物理的ではない)は死者の霊とは比べ物にならない。
先生は極度のマイナス思考、自虐体質、もしくは人に言えない悩みを抱えている、自分に嫌悪を抱いている可能性があるらしい。
それがエンジェル様の呪いという暗示をきっかけに自らの力でポルターガイスト現象を引き起こしてしまっている。
若い子供などに多い現象(自分の顔が嫌いだとかが原因)だが恋をしたりすることで改善するよくある現象だと教えられた。
霊の存在は真実だがそれを誰もが認識する必要はないと言っていた。 神父が説く「知らぬが仏」というやつである。

最後に親父は正直、先生を救うのは難しいかもしれない。と言った。
それから先生は何度も教会に足を運んでくれたがポルターガイストは収まることはなかった。
先生は病院で「重度の鬱病」と診断され学校をやめて実家の田舎で養生すると言ってそれきり来なくなった。
何度か手紙が来たがポルターガイスト現象は実家でも起こると書いてあった。
その後、音信不通になってわずか半年で先生は自殺してしまった。
自殺した場所は勤務していた中学校。
都会で教師になることに憧れて夢が叶ったのに田舎に帰ったのがさらに追い詰めてしまったのだろうか?と俺は想像したが時すでに遅し。
自殺の一報を聞いた親父は自分の無力さに朝の懺悔を昼までしていた。

おわり。


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