[工場に住むモノ]

私はとある会社で営業職をやっている27歳男です。
この数ヶ月で私の身に起こっていることを書きます。

今の職場は某工業団地の一角にあり一階が工場、二階が事務所って造りです。
そして自社工場の吊り下げ形蛍光灯がひとつだけ夜勤時間になると揺れだします。
歳の近い現場の同僚に聞くも「不思議だね」で終わり。
ゆれる蛍光灯はいつも同じ蛍光灯で二階に上る階段のすぐそばに吊ってあります。
よくあるパターンで一人で作業してるときに限って揺れるわけでもなく現場に数人いてもゆれる。
ゆれ幅はほぼ一定でだいたい22時過ぎくらいから。
なんかその蛍光灯の下にいると頭が痛い。

しばらく前から残業で事務所にいると誰もいない一階から階段を上ってくる音がするようになりました。
最初は同僚がなんか忘れ物でも取りに来たかと思い何も気にしなかったのですがその足音は階段を上ってきたところで止まります。
不思議に思い事務所の扉を開けてちょっとした倉庫になっている廊下のさきにある階段のほうを見ましたが電気もついてなく暗い階段には人影はありませんでした。
少し怖くなってその日は仕事をやっつけで済ませて帰宅しました。
それから残業で一人残っているとそのようなことが時々起こっていました。
思い返してみると音的にはそんなにガタイがいい人が上ってきてる感じではないですが階段を上るペースは速い。
階段を上ってくる音で終わるのでそこから事務所に近づいてくるかはわからないのですが。
心なしかだんだんと階段から廊下まで足音が伸びてきてるような気がしないでもないです。
最近では二階の窓の外を何かがふっと横切るような影?のような物が見えたりする気がするのですが、なにぶん一瞬のことだし気のせいだと思い込んでいます。

そうした日々が過ぎているうちに、ある日休日出勤をしていた私は変な体験をしました。
休日だというのに荷物の受け取りで朝出社した私は客からの「荷物の到着は昼以降です」の電話にげんなりしつつ
誰もいない事務所のデスクでのんびりしていました。
思い返せばそのときから夜でもないのに少しおかしかったのです、
まず出社時に一階の蛍光灯はゆれていました。
そして事務所に入った私はプリンタの電源が入っているのに気が付きました。
誰か消し忘れてたんだなと思ったのですが前日事務所を閉めたのは私でした。ちゃんとチェックしてあるので消し忘れは無いと思います。
なんとなく耳鳴りのようなものがしてました。
そして荷物を受け取り中身のチェックを済ませたころには夕方の5時半くらいでした、外はもう暗い時期です。
会社の全ての戸締りをして警備会社に連絡し、会社を出た私は二階を見上げると事務所の窓が一つ開いているのを見つけました。
「あれ?」
私はまだ警備カードを入れて会社に入りました、蛍光灯は揺れていません。工場は暗く静まり返っています。

工場の機械と機械の間に何か見えた。横切った。
大きさは二足歩行で高さ私の胸くらい。暗い工場でなぜか白かったことがわかる。
私は全力でうっすらと見える階段を二階に駆け上がった、全力で電気をつける。
事務所のほうを見ると。

扉が開いている、入ってはいけないような気がする。
そして私は階段を上りきった場所で固まりました
階段の下から気配がするのです、もちろん下を見る勇気はありません。
どのくらいそのままだったのかわかりませんが気配が一歩階段を上りました、意を決して事務所に駆け込む私。
扉を閉ざして内鍵をかけます。しかし気配は扉の向こうにある。
次に私の口から出た言葉「また会ったね。もう意地悪しないでよ。」
パニックになりました。しばらくそのまま静寂の時間が流れます。
何を思ったのか私は「南無大師遍照金剛」とつぶやきました、気配はなくなっていました。

その日は不思議な気持ちのまま帰宅しました。明日も仕事です。ちなみに帰りに確認した窓は閉まっていました。
以上です。


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