[真ちゃんの前]

おとといの晩のことです。
深夜、3歳になったばかりの娘がうなされている声で目がさめました。
「うぅ〜ん…いやだぁ〜!……うぅん…」
首をイヤイヤするように左右に振り、苦しそうに顔をゆがませています。
ここ最近でも寝苦しい夜も続き、暑がりな娘は薄いタオルケットすらも剥いで
寝ていることも多いので、またいつもの事かとも思いましたが、
それにしても今夜はやけに苦しそうです。
妻も気づいたらしく目を覚ましました。
「麻衣、なんか悪い夢でも見てるんじゃないの?」
「ああ、そうかもな。どれ起こすか…麻衣ちゃん。麻衣ちゃん起きなさい。」

しばらくゆすっていると、娘がパチッと目をあけました。
そして、見る見る目から涙を溢れさせ「うわぁ〜ん!」と泣き出しました。
抱き上げ、背中をさすりながら「どしたの?怖い夢でも見たか?」と聞きますが、
なかなか泣き止みません。
すぐ隣には麻衣の下の1歳になる弟の慎二も眠っている。
『こいつが起きてしまっては大変。』とちと焦りながら
「大丈夫。大丈夫。」ととんとんと背中を叩きながら数分、
ようやく落ち着いてきた娘が少し話し始めました。

続く