[樹海でのキャンプ]
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私ともう一人の相方は、その音に気付き、3分間ほど沈黙し、
その後の音から何であるかを耳だけで探ろうと必死でした。
が、結局、その後は何も音がせず、原因は分からなかったのですが、
それは何か重いものが地に落ちたような音でした。
二つのテントは1m程度の間隔で隣り合わせに立てていたので、
テント越しに、「今の音何?」と隣のテントに問い合わせてみましたが、
向こうの二人も聞こえたようで、「分からない」と答えが返って来ました。
我々は多少の恐怖を体験してきましたが、今回のキャンプ地は、
樹海とあって、これまでに経験の無い恐怖を感じていたので、音が鳴った
場所を確認するといった行動には出られず、やがて、AM2時近くになろうと
していました。その時です。
「ザクッ、ザクッ、ザクッ・・・」
と遠くのほうから、足音らしきものが聞こえたのです。
しかも、その音はだんだんとテントのほうへ近づいてくるのでした。
おそらく、テントから2〜3mほどのところで、その足音がピタリと止み、
もう、この時点で全員が恐怖のピークになり、隣のテント仲間の一人が、
「ああ、誰ですか!」と叫んだのです。が、返事は返って来ません。
私は体中震えていましたが、それは恐怖というよりも寒さで震えている
ような不思議な感覚に陥っており、しかも身動きが取れなかったのです。
それから、2分近く経った時でしょうか。その足音は、先ほど物が落ちたような
音がした場所へ向かって行きました。その時、テントの裏側のほうから、
「ああああ、誰がこんなことをさせたんだーーー!くそーーーー!」
その声がした途端、隣のテントの仲間二人が、私のテントに来て、
「おい、早く、逃げるぞっ!」と呼びかけ、私は考えもままならない状態で、
それに応じ、4人全員がその場所を全速力で走り逃げ去ったのです。
途中、恐怖にも関わらず私は見てしまったのです。テントの方角を。
白っぽい礼服のような衣服を着た人間の様なものが木にぶら下がっているのを。
(終わり)
それ以来、私は絶対に樹海へは行かないことを誓いました。

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