[風呂場で]
ある日のある夜、風呂につかっていた。
蚊の鳴くような音が聞こえた。
「・・・・、・・・・。」
虫でもいるんだろうか、そう思って見渡しても
特になにもない。
少し、はっきり聞こえた。
「・・・い、お・ーい。」
とっさに呟いた。
「誰かの声、か?」その途端
「そこなんだな」
小さいが、妙にハッキリ聞こえた。
その後「シャー・・・」という音。
鉄の壁に、鉄の棒を擦りつけているように聞こえた。
段々音が大きく、近づいてくる。
恐ろしくなって、風呂から上がった。
大急ぎで体を拭き、脱衣所から出る瞬間、風呂場から
排水溝の蓋を外す音が聞こえた。
次の話
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