[水が美味しい]
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幽霊に怒りを覚えていた俺はその夜、東側の壁を引っかいた。
奇声を発しながらところ構わず引っかいた。
すると、壁紙が剥がれた所に赤いところがある。
それに気付いた俺は、壁紙を剥がすようにさらに引っかいた。
そしてそれは現れた。
真っ赤な鳥居が東側のの壁左寄りに大きく書かれていたのだ。
突然恐ろしくなった俺は、もっとあの美味い水を飲まなくてはと思った。
やっぱり俺は頭がおかしい。

蛇口から飲むんじゃ足りないと思った俺は、部屋を飛び出し階段を駆け上がった。
階段を駆け上がり屋上にたどり着いた。
以外にも、入り口の鍵はかかっていなかった。
そして俺は貯水タンクに向かった走った。
そうだ、俺は貯水タンクに浸って思う存分美味い水が飲みたかったのだ。
タラップに手を掛け、2メートルほどのタンクの上に登り蓋に手を掛けた。
蓋には鍵がかかっていたけれど、美味い水が飲みたかった俺は必死になってこじ開けた。
今にして思えばとんでもない力が出ていたと思う。
そして開いたタンクの中に飛び込んだ。

だけど水は美味くなかった。
とてつもなく不味くて臭かった。気持ち悪い。
それよりも何よりも俺はタンクの中に驚いた。
毛を毟られネットに入れられた猫が何十匹とタンクの中に放り込まれていたからだ。
俺はその日の晩飯と美味かった水を吐き出した。
そしてタンクから飛び出し、近くの交番へ駆け込んだ。

その後、大慌てでやってきた大家さんにこっぴどく叱られた。
壁紙とタンクの蓋を破壊したのだから当然だが、どうも犯人と勘違いされたらしい。
なんとか誤解は解けたが結局、壁紙とタンクの蓋は弁償させられた。

俺はその後、そのマンション引き払って別のアパートから大学に通い、5年かかったがなんとか卒業した。
あの事件犯人は結局捕まらず、何故あんな事をしたのかも解らずじまいだ。
何かの呪いだったのだろうか?


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