[ガマで]

俺の祖母は沖縄県民なんだが沖縄戦にまつわる怖い話を・・。

戦争終了直前に俺の祖母は怪我をしている学友と共にガマに非難していた。
と、そこに二人の日本兵がやって来た。
一人は年配、もう一人は若かった。両方とも怪我をしていた。
が、ぞっとしたのはその若い方の目つきの悪さだ。
何か明らかに「正気を失った」目だった。
まだ高校生だった祖母は出来るだけ若い奴と目を遭わせないようにしていた。
若い奴は「足が痛い」「喉が乾いた」などしきりにこぼし、その度に年配に嗜められていた。
しばらくすると年配は「外の様子を見てくる」といってガマから出て行ってしまった。
祖母達はその明らかに精神状態のおかしい男と取り残されてしまった。頼りの学友は怪我をしていて身動きが出来ない。
それから気マズい沈黙が流れた。

祖母と学友はできるだけそいつから離れた場所にいた。そいつは一人でぶつぶつ何やらつぶやいていたがどうやら
こちらを伺っているようだ。
祖母と学友は年配の日本兵が早く戻ってくることを祈った。だが、一向に戻ってくる気配はない。
祖母は決心して学友を連れてガマから出ることを決心した。
祖母が学友を背負って立ち上がったその瞬間、そいつがいきなり襲いかかって来た。
祖母は転倒し、学友ははじき飛ばされた。そいつは学友の方に向かった。
その男がわめきながら学友の首をしめ出した。祖母が呆然としていると銃声がなり響いた。
学友の上に馬乗りになっていた男は倒れた。戻って来た年配の男が若い男を打ったのだ。
学友はそいつの血を浴び血まみれになった。

それから先のことは祖母はよく覚えてない。ただ嫌な思いでのある沖縄を捨て東京に移り住んだ(俺自身も東京都民)。
学友も年配の日本兵もあの後どうなったかわからないらしい。


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