[噂の「お札の家」]
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全員一旦車に戻ろうという結論に達し、車に戻りました。
戻る前に、僕はまだ地蔵を神様か何かだと思っていたので、無事に帰れてよかったという気持ちから一礼をして車に乗り込みました。
車に乗り込んで赤い光について話していると、また友人Aの携帯が鳴りました。

突然友人Aが「帰りましょう、早く車を出してください」と言い出しました。
友人Aはかなり焦っていたので、怖くなってその場から離れ、とりあえずファミレスで話し合おうということになりました。
赤い橋を過ぎた頃、友人Aは、車に乗る前に子供の笑い声を聞いたと言いました。
彼が声を聞いたのは僕が地蔵に礼をしたまさにその時だったんですが、まだ僕はその事実に気付かず、声が聞こえたことに関しての話を続けました。
その話をしていると、友人Aがふと「今道路脇に線のような青い光を見た」と言いました。
それを聞いて先輩が驚いて、「あの時車に戻って全員がドアを閉めるまで、サイドミラーに青い光が見えてたんだよ」と言い、車の中が凍りつきました。

そしてここからはファミレスで話してわかったことなんですが、友人Aの携帯は終始マナーモードで、試しにファミレスで電話をかけてみたのですが振動するだけで音が鳴ることはありませんでした。
そして友人Aの携帯は合計3回鳴ったはずなのですが、入っていたメールは2件、そしてファミレスで試した着信1件のみでした。
数が合わないんです。
友人Aは家の前のフェンスの所で携帯が鳴ったときのみ携帯を見ていません。
つまり誰から着信が来たのか、あるいはメールが来たのかは、まったくわかりません。
そして最もぞっとしたのは、3人はあそこでほとんど僕の姿を見ていないし、声も聞いていないということです。
僕が友人Aにかけた声を聞いたのは友人Bだけで、その友人Bも、友人Aの横にいたはずの僕の声だけしか聞いていません。
僕が友人Bの肩を叩いたのを先輩は見ていますが、友人Bは肩を叩かれていないというし、友人Aもそれを見ていません。
また僕が感じた風も3人はまったく感じておらず、無風だったと言っています。
そして友人Bがフェンスの向こうを照らした時、僕は友人Bの前にいたはずなんですが、今思うとその光に僕の影は映っていなかったのです。


やはり十字を切ったのがまずかったのでしょうか。今生きているのが不思議なくらいです。


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