[4階の物音]
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放課後、今も聞こえる物音を確認すべく今日4階に行き確認することを決意した。
その日は普段より皆帰るのが早かったせいか、校舎全体が静まり返っていた、
誰もいないような感覚がした。
そのときは少し恐怖を感じていたが、なぜかこの日でないといけないと思っていた。

時刻は15:00ぐらい、日も沈みかけ空はあかね色に染まっていた。
俺は何かに引き寄せられるかのように4階へ上がる階段のところへ向かっていた。
階段に向かうにつれ物音、話声は少しづつ大きくなっていく。
もちろんこの日はクラブ活動とかはなく4階の各部屋には鍵が掛かっており、
特に用事がない限り中には入れないようになっている、というかそもそも4階は
幽霊が出ると全生徒で噂になっており、普段は誰も近寄らないのだ。
たしかに4階の空気は異質で、例えていうなら空気が凍っているような
寒気がするそんな場所だ。

4階へ上がる階段に着いた、この時点で既に周りの空気は凍り付いていた。
このときの恐怖感が今でも鮮明に覚えている、恐怖感と緊張で手足が震え、
冷汗をかき、意識は混乱していたが「確認する」という意志だけははっきりしていた。

恐る恐る階段を1段づつ上っていく、1段上る度に物音、話声も大きくなる。
あまりの恐怖ですぐにこの場を離れたかったが足は勝手に動いていく。

階段の中間あたりまで来た、全ての感覚が恐怖感で麻痺したかのように手足が重くなっていた。
物音、話声も今までになく大きく、それは直ぐ上の4階から聞こえていた。

階段を上りきり4階の廊下に着いた直後だった、あれだけうるさかった物音、話声が
突然やんで、辺りは完全な無音に包まれた。
それと同時に辺りの空気がなにか別のものに変わっていた。極度に冷たい空気、重圧感、極限の恐怖感、四方からくる無数の視線。
そのとき非常に後悔した、なぜ自分はこんな時間にこんな場所に来てしまったのかを。
足はまったく動かない、自分の足がその空間に植えつけられたかのようだ。


俺「…………」


声も出ない、いや例え出せたとしても出す勇気なんてない。
後ろから特に強い視線を感じる(3階の方から)、絶対に振り向いてはいkない、振り向いたら最後。
しかし体は後ろを振り向こうとする、自分の意識に反して。
目もつぶれない、後ろには見てはいけないものがある、意識は極限状態、この状態を上手く
言葉に出来ない、出来るとしたら
「ここにいてはいけない」
「後ろのものは見てはいけない」
「逃げろ」。

遂に後ろを振り返ってしまった。


俺(何も無い…、誰もいない…)


このとき少し安心したのか恐怖心が少し和らいで、足も動くようになっていた。
和らいだとはいえあまりこの場所にいたくなかったので、4階のほうを振り返らずに
その場を離れた。

続く