[ばばばの夢]
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そこで、オカルトや怖い話が好きな知人に、同じような話が無いか聞いてみた。
幽霊等々には免疫があるのだが、どうも「夢」の分野はよく知らないので相談した。
しかし、たかが夢だといわれたし、何も無いようだった。
このままでは、不安で怖いので知人(以下:F)に助言してもらった。
「寝なければ良いんじゃないか〜」と言われて、それもそうだなぁと思い、そうしてみる事にした。
1日、寝ないでいるにはやっぱり「肝試し」に行くしかないだろうという事でFとその他数人と深夜に出かけた。
翌朝、Fやその他の人との肝試しも無事に終わった。
そういう、肝試しには誰かかれか霊感のある人が居るもので、霊視してもらったのだが、ついていないと笑われた。
帰宅しても寝る気がしなくコーヒー等を飲んで夜になるのを待って、ぐっすり眠るつもりだった。
ロール・カーテンを下げていたのだが、窓よりも下に下げていなかったので、隙間が出来ていた。
それを忘れていて、目をつぶってるが、なかなか眠くならない。
それでも、努力して眠ろうとしていたが、何故か、目をあけてしまった。
頭の後ろがちょうど、窓だったのが最悪だった。
こちらを除き見る目がふたつ。
目があった瞬間、窓をすり抜け下半身を引きずりながらズルズル床を這い回る「ばばば」がベッドの傍にやってきた。
叫ぼうとしても、叫べない。
身体は女性。髪はボサボサ。顔は血だらけで、表情は一瞬見ただけでグチャグチャだった。
目がどこにあるかも、よく解らなかった。
す足をつかまれ、足首に爪がくいこんでいく。「ばばば」は必死で両腕の力だけで身体を起こすと、じりじり「ばばば」が上に乗ってきた。
咄嗟に、ベッドの横のテーブルに置いてあった肝試しに持っていった鞄の中をあさって、懐中電灯をつけた。
絶叫してベッドから落ちた「ばばば」は窓の外に出て消えてしまった。
急いで、部屋中の豆電や天井の電気をつけて、暗い所が出来ないようにした。
襲われた次の日、部屋中に血臭が漂い、墨で内側から貼りつけていたにもかかわらず、半紙の「光」の部分だけが破れていた。
Fに頼って今までろくな事が無かったため後日問いただすと「おもしろい事が起こったか」と笑われた。
Fが言うにはしばらくは「ばばば」は来ないと言った。
念のため、日が沈んでから「光」という文字を書いて、就寝前に貼るのを続けた。
それから、Fの言うとおり、「ばばば」の夢も見なくなったし、「ばばば」もそれ一度きりで、部屋には来なくなった

続く