[体育座りの人]

今でもアレはなんだったのか不明ですがよろしければ私の話を聞いてください。

5年程前の夏…
その頃ほぼ毎日のようにSさんの家に遊びに行くのが日課になっていた私は、そ
の日も仕事が終わってから自転車で、Sさん宅へ向かってました。

私の自宅の近所には運河に通じる大きな川があり川沿いは土手になってい
て、土手からSさん宅に向かうと一番近道なので、その日も土手沿
いからSさん宅へ自転車を走らせていました。


夜の9じに仕事が終わり、Sさん宅へ向かい始めたのは10じ近か
ったと思います。

Sさん宅に行くには、土手沿いを通り、途中大きな橋を渡らないと
いけません。いつもは青っぽい街灯がついていて普段は整備もされ
ていて奇麗なのに、あの日は違いました。

夜なのに街灯は消されていて、橋の袂にある公園からは木が風のせ
いで騒いでいるのか『ザワザワザワザワ…』少々耳障りに感じる程
に聞こえ、橋の入り口?には人が一人ポールのようなものの上に体
育座りをしているのがわかりました。

『ん?』
不振に思った私は自転車のスピードを緩めて、前の人を確認しなが
ら自転車を漕ぎ…橋の入り口に差し掛かったところで、
『あれ?誰もいない??』
私の気のせいだったのか、体育座りしていたはずの人影は私の目の
前で消えていました。
『あれ???気のせいか???』
と思った次の瞬間!凄まじい耳鳴りと頭痛が私の右側だけに激しく
襲ってきて思わず右側に体を向けたとき、おそらく50人いたでし
ょうか…小学生くらいの子供たちが体育座りをして、私を直視して
いたのです。
明らかに生きた人間の目をしてない子供たちは、私の目を見ながら
一人…また一人とこちらに向かって歩いてきて…
『うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
自分の体を奮い立たせるように力いっぱい叫び必死になって自転車
を走らせました。
目の前の橋の中央部分に差し掛かかり、私の目に入ってきたのは…
さっき橋の入り口にいた、体育座りの人…
パニック状態に陥っている私はまっすぐ橋を降りはじめました。

『体育座りの人……。まさか!』
橋で体育座りしていたひとは、小さく『あぁぁぁぁぁぁぁぁ』と
声を出し、自分の髪の毛をむしる動作をし、見間違えでなければ
眼球はありませんでした。


私が覚えているのはここまでです。
そのまま気を失ってしまったらしく、気がついたら私の友達Sさ
んがそばにいました。

なぜSさんがいたのか…Sさんから聞いた話ですが、私の携帯か
ら着信があったそうで不信に思って探しにきてくれたそうです。

私はまったく覚えていませんが、確かに私の声で…
『つかまった』
とだけ言っていたとか……

長くなりましたが、つまらなかったらすみません。
お付き合いいただきありがとうございました。


次の話

Part175menu
top