[コートの女]
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…俺は絶叫しながら布団から跳ね起きた
全身寝汗びっしょり
馬鹿らしいくらいにマンガみたいな寝覚めをしてしまったとヘコむ
耳を澄ますと隣人が室内を歩く音とか聞こえてくる
結局コートの女の姿だけ消えて、いつもと変わらない俺の部屋

今度こそ本当に脱力して、倒れこむように布団に寝そべった
疲れてるのにもちろんすぐに寝付けるわけないよ
半泣きでため息ついて目を開けたとき
俺の左側にコートの女が立って俺を見下ろしてる!

ここに至って驚きとかじゃなくなる、もう勘弁してくださいって感じで
うんざり?なんかガッカリするんだよ。
でも不思議なことに襲ってこない。ただ見てるだけ。
もちろんそれだけで怖いんだけど、さっきより何倍もマシだった

結局女はいなくなっていた。

落ち着いたあと勇気を振り絞って電気の紐に手を伸ばすと
部屋の壁には、ところどころ黄ばんだ白いコートだけがかけられていた

結局あれがなんだったのか判らず仕舞いです。
コートはいまだに持っていて、春先にはたまに着たりしてます


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