[まるで双子のよう]
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家に着いたモノの、二人とも正直寝る気にならなかった。
仕方ないから、下らない話をしながら自分の部屋で朝になるのを待っていたんだが、
何で幽霊は窓を叩くのが好きなんだろうか?
もうすぐ夜も明けるという時間になって、ダンダンダンダンダン!!!という窓を叩く音、
自分の部屋は二階で、その窓はよじ登る所もない場所。
そんな人外アピールは要らないと思いながらも見ると、やっぱり無数の手形。
部屋の中に「うふふふふふふ」という女の笑い声、と、次第に混じる男の笑い声。

二人して何だかもう、オンパレード過ぎて恐いを通り越して一瞬「(;'A`)」「('A`;)」という顔になる。

まぁ、それでも、夜が明けるにつれて静かになって、風呂に入って寝ようかって事になった。
Mに先に風呂にいっていいよと言い、漏れは漫画を読もうかと思った、が、
とは言ってもやっぱり一人にされると多少恐くて、自分は先にベッドでタオルケットを装備していた。
そしたら一人になったのを狙っていたのかなんなのか。
男の声、しかも境内で聞いたのとおんなじ声、わぁ!来たのかよ!と思いながらタオルケットを被り、
腕でと足で突っ張らせてタオルケットを突っ張らせて、ガードして、ガクガクブルブルしていると、顔の真上に顔の気配。

「ふぅーふぅー・・・・うぅううぅうぅぅうぅう」

何だよ何がしたいんだよ!ていうかごめんなさい!うわぁ顔の形にタオルケットがあぁぁうわぁぁ!!
とかパニくりながら、声には出さないで、Mを呼んでいた。
『助けて!助けて!M助けて!マジ助けて本気で助けてM!!!これ無理無理ですマジ無理です!』

そう思った瞬間、ドアがバーンと開いて「呼んだか?!」と泡つけたまま部屋に駆け込んできたM。
それに自分もびっくりで「いや、声では呼んでない」とか言うとMは意味が判らんという顔をしていた。

「風呂に入ってたら、耳元でお前の声で助けて!って聞こえて慌てて上がってきた」

「( ゚д゚ )いや声は出してないっていうか、頭で呼んだ、タオルケット被ってたら何かあーあーうーうー・・・
 てかそもそも耳元で聞こえる訳無いじゃんよ、上にいんだもの・・・」

「あ、そうか( ゚д゚ )あれ?」「うん( ゚д゚ )・・・あれ?」

何つか、前々からちょっとあったんだよな、呼んだつもりも無いのに呼んだ?とか。
確かに呼ぼうと思ってたけど、みたいなのは。
とは言え何かもうびっくりを通り越してビビった、何より一番ビビった。

で、まぁ、お互い?マーク浮かべながら、Mに話を聞くと。
やっぱり境内の耳元でうーだのあーだの言ってた奴で、どうやら交通事故かなんかで亡くなったとかで、
「痛い」だのああだの訴えてたそうだが、「ビビらしてどうすんだゴルァ」的にMに睨まれ・・・、
申し訳ないと思ったのか何なのかは知らんが、自分の部屋にまで来て何を訴えてたかというと。

「恐がらせてごめんなさい」

だったそうだ・・・・うん、謝り方が大変恐いから、謝んないで良かったですよ。
まぁ、こんな事もありつつ寝て、夢にあの白い骸骨女が出てきたりもした。
自分の頭の横に、胎児の幽霊が居て泣いてたりもした、
それにビビったりもした、翌日二人して右半身と左半身がそれぞれ動かなくなって、怒ったりもした。

結局、何が言いたいかってぇと。
夜の境内は危険、そんで、一番人間をびっくりさせるのは人間だって事。

そして、これ以降、自分はメキメキを幽霊とやらを見る様になった。
ついでにこれの所為で、今の自分に生まれる前の魂みたいのを少し信じたかもしれない、
双子ってそういうのあるって言うから、まさかねなんて思いながらも、ちょっと。

でも、まぁ、散々引っ張った結果、何が一番恐かったって、
声に出してない自分の声を聞き取ったMが一番恐かったw


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