[集まる家]
前頁
「ただいまー」 
息子たちが帰ってきた。 
母はふたりを2階に連れていって問いただす。 
けれど、ふたりは言う。 
「俺達じゃない」 
「だって俺達じゃ1番上までとどかないし」 
確かに、ふたりはまだ小学校高学年で、背伸びをしても1番上までは届かない。 
「それにこの穴、俺の手より小さい」 
下の方の息子が手をあてると、穴は次男の指よりも細い。 
それは長男でも同じだった。 
「それに母ちゃん、俺達が帰ってきたのは母ちゃんの後だろ? 
俺達じゃ家にはいれない」 
言われてはじめて気付く。 
子供たちには鍵を持たせていなかった。 
しばらくして、他にも色々と不可解なことが起こり、 
この家を引っ越すことになった。 
相談してみたら、この土地自体が私たちの血が合わなくて、 
亡くなった人たちが助けを求めて集まるらしい。 
袋小路だったことも原因して、 
よくないものがそこに集まってしまった様だ。 
最後の大掃除の時に、 
自分たちは使っていなかった押し入れの天袋の掃除をした。 
そこで前の人の忘れ物を見つける。 
どうやら、おもちゃ箱のようだ。 
片付けようと持ち上げると、母が毎晩聞いていた 
シャララ..と言う小さな積み木のぶつかる音が響いた。 
他にもこの家では色々とありましたが、長くなるので割愛します。 
長文失礼しました。