[覗き込む]

私が12、13歳あたりだった頃の話なんだけど、 その日は同い年の従姉妹とその妹が泊まりに来ていた。
いつもは別の部屋で寝るんだけど、なぜかその日はおじいちゃんの部屋で寝ることになった。

当時の私は、寝る場所が変わると寝れない子だったので、2時をすぎても眠れなかった。

我が家は昔ながらの家なので、部屋の仕切りはふすまとかで仕切られてた。おじいちゃんの部屋はガラスのドアで仕切られていて、内側から鍵がしてある。鏡などもおいてあるので、
掃除をするとき以外などはめったに開けなかった。

2時を過ぎた頃、誰かの足音が聞こえた。
おばあちゃんかなって思ったけど、何か変だった。
いくらなんでも足音が遅すぎる。やがて、そのガラスのドア(となりは廊下)に人影が映った。
ゆっくりゆっくり歩いている。するとピタっと止まって、ガラスのドアを開けてこちらを覗きこんだ。

顔は見えなかったけど髪の長い女の人だったと思う。
思わず目をつむった。次に目をあけたときには、もうその女の人はいなかった。

そしていつの間にか私は寝てしまった。

次の日の朝、快適に目が覚めた。昨日のことは夢だったんだ、と安心しながら、トイレに行こうと思い廊下を歩いたら、
ガラスのドアが少し開いていた。

あとで家族にさりげなく聞いてみたけど、誰も開けていないらしい。


次の話

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