[いじめの仕返し]

ある日の放課後、俺は友達のA川とK田と教室にいた。するとそこに、
クラスでいじめられているM木がやってきた。M木は俺らを無視して、
自分の机の中を何やらガサガサし始めた。K田が言った
「あいつまじ気持ちわりーよなぁ」
「確かにな」
俺が相づちを打っていると聞こえたのか、M木はこっちに顔を向けた。そして
こちら側にスタスタと早足で寄ってきた。A川がM木の前に出て言った
「何だよデブ。それ以上寄ると殺すぞ」
キュッ、と上靴が床と擦れる音がした。その直後、M木はA川を勢いよく
突き飛ばしていた。よく見たら、A川の頬にはハサミが突き刺さっている。
口内まで貫通していた。「ギャアアアア!!アアァァァ・・・」
血まみれであまりの痛さに床で転がるA川。
「な・・・お前何やってるんだよ!」俺は叫んだが、M木は完全に目が
イっていた。ギョロリと俺らを睨み、「やられたら、やり返す、」などと呟いてた。
結局、その日はそれ以上の事はなく、俺とK田は救急車でA川を病院に送った後、
先生に事情を話し、M木は退学処分となった。

そして数日後、K田の家が燃えた。幸い家族は無事で済んだそうだが、
現場には物的証拠がなく、犯人の特定は難しいとの事だった。
・・・やったのはM木だ。俺は確信していた。もちろんK田も同じだった。
大体、あいつは何なんだ。ほんのちょっと、悪口を言っただけであそこまで
逆上するなんて。今までM木がいじめられる場面を幾度となく見てきたが、
あんなキレ方をしたことはなかった。そもそも、俺達はどちらかと言えば
イジメにあまり関わっていない方だ。もっと過激なやり方でM木をいじめている
ヤツは他にいくらだっていたのに。しかし、いくら考えても分かるはずがなかった。
今日は、K田が俺の家に来る。M木について警察に話すかどうかの相談を
するためだった。
「ピンポーン」
チャイムが鳴った。やっと来たか、そう思って受話器を取った。「はい、どなたですか」
相手は無言だった。俺はもう一度「どなたですか」と言った。相手は小声で答えた。
「M木ですけど」
ドア穴から外を見ると、誰かの返り血で真っ赤に染まったM木がいた・・・。

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