[首を取ったのは・・]
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駆け寄ると、中にはハンドルに突っ伏しているAの姿があった。
もう一人は後部座席で寝ている。これは最初からだ。
「おい!A!大丈夫かA!!」
Aを揺さぶり声を掛け続けるも、Aは気を失っているようでまったく反応しない。
後部座席で寝ているBを起こし、とりあえずAを後部座席に移すと俺たちは急いで車を出した。
しばらくしてAは意識を取り戻した。
Aの顔色は土色で、血の気が完全に失せていた。
「大丈夫か?」
Aは何も答えない。
俺はAに林の中で会ったモノのことを聞いてみた。
「あいつに何かされたのか」
「あいつってなんだよ?」
ずっと寝ていたBは横から口を挟んだ。
「あぁ、林の中で…」
「やめろ。」
言いかけた途端Aがそれを制した。
そしてその日はそれ以上あの件について触れることなく解散となった。
その後も何度かAに何があったのかを聞いてみたが、
そのたびにAは押し黙り、絶対に教えようとはしなかった。
なぜAが話したがらないのかはわからない。
今でもこの話は俺たちの間ではタブーになっている。
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