[猫かい?]

母の言葉は多分本当に偶然だったのだと思います。
「どうしたの?猫?」
という言葉にはかなりビビリましたが、
(目立って嫌悪感をあらわにしていたつもりは無いのですが、私が猫嫌いって知ってれば納得です。)
その後「早く着替えてご飯食べちゃいな!」
「ほらほら、なにぼーっとしてんだよーお風呂に入って!」
など、さっきの出来事は何か勘違いだったんじゃないかと思わせてくれるぐらい
母はいつもの通りで私をあっという間に現実に戻してくれました。
(まあ、別に幽霊見たって訳ではないしな…。何度か黒猫に横切られて後戻りしたことあるし、
それを以前Wおばさんに見られてたのかも。そりゃ笑われるか…俺もビビリだなあ。)
そんな風に思ってその日はぐっすりと寝たのでした。

そして翌日

休日午後、居間で昼寝をしていると何やら話し声がするので目を覚ましました。
「あら〜わざわざ。」とか「わたしも行きたいわ〜」とか玄関口で母が誰かと会話しているようです。
むくっと起きて玄関口に向かうと
「それじゃあ、どうも〜」と誰かが帰っていくところでした。
「誰〜?」
「ん〜Wおばさんだよ〜」

昨日の今日だしドキッとしました。
なんだよ〜わざわざ昨日の俺の事でも話に来たのかよ、とも思いました。
恥ずかしいじゃんかよ。なんて感じで。
しかし、母の言葉は自分をまた恐怖させるのに充分でした。

「Wさんち、家族でおとといから温泉に行ってて今帰ってきたみたい。早速御土産もらっちゃって…」

じゃあ昨日会ったWおばさんって誰?

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