[看護婦の幽霊]
前ページ

うまく外に逃げ出した四人は仲間の無事を確認することなくばらばらに自宅へ逃げ帰りました。
学校に残された一人は、暗い学校の長い廊下を全速力で走っていました。看護婦は、階段までも乳母車を押したままのぼって
きたのです。二人の距離はだんだん縮まっているように感じられました。逃げ場を失ったその中学生は目の前にあったトイレに
逃げ込みました。左から二番目の個室です。その個室の中でひざを抱え、震えていると看護婦の乳母車の音がだんだんちかづいてきます。
そして、トイレの入り口まで来ただろうと思われた時に
「ガラガラ、ガラガラ、ガラガラ」
と今までとはちょっと違ったリズムの音がしました。
中学生にもそれが、<看護婦が、トイレの入り口あたりを往復している音だ>
ということがすぐにわかりました。しばらくすると、看護婦はトイレの中に入ってきて、右から順番に「コンコン」とドアをノックし、
「ギィィィィ」とゆっくりドアを開けては「ここにはいない・・・」
と呟くのでした。自分の個室に近くなるにつれ中学生の恐怖心は膨れ上がり、今にも失神しそうでした。しかし、いざ左から二番目の個室の番になると
今まで起きていたことが夢であったかのように何の物音もしなくなりました。ノックの音も乳母車の音もしないのです。
「助かった」と胸をなでおろした中学生でしたが恐怖心が完全に消えるわけもなく、もうしばらくトイレにいることにしました。

長い時間が過ぎ、あたりは少し明るくなり、やっとトイレからでる決心がついた中学生はゆっくりとたち上がりドアノブに手をかけました。
すると、目の前に長い糸のようなものが・・・。ゆっくりと顔を上げると、看護婦が長い髪を垂らしてドアの上から中学生をじっとみていたそうです。
長くてごめんなさい

次の話

Part17menu
top