[儀式]

小学校の時のこと思い出しながら書くので、いろいろあやふやなってしまってますすみません。

私の小学校には、はまっこっていういわゆる両親が共働きの鍵っ子達が集まる学校での児童預かり所みたいなものがあったんです。

一年生から六年生まで30人くらいがいて、職員室から一番近いA棟の空き教室を改造して使っていました。
でも何故か下駄箱だけが、普段使われてないC棟に設置されていたんです。

そこは薄暗く気味が悪くて、生徒がよく悪ふざけでおばけごっこをしてる場所でした。

使われなくなった机やイスがそのまま放置されていて、それをどかしてみるとなぜかある部分だけ床のタイルの色が新しいものに変わっていたんです。

それは「首吊りをした女の子の血や汚物の痕がタイルに染みついてしまい、新しいものに変えたからだ」という噂話が広まり、私達は好奇心からかよくその下駄箱に集まるようになりました。

私達が集まるようになってから数日後、下駄箱に壊れたパソコンが運ばれてきました。

なんというかすでにそこは物置状態になっていて、廃棄処分されるものがたくさん集まっていました。

私達は三人でそのパソコンで遊ぶようになりました。

動くはずの無いパソコンに向かって、私達は無邪気に「ゆみちゃんに会わせてください、ゆみちゃんに会わせてください」とひたすら言っていました。(ゆみちゃんと言うのは首吊りで亡くなった女の子の名前です)

その「儀式」は日常化していたのですが、ある日を境に私は体調を崩し「儀式」に参加することを止めました。

その日リーダーとなっていたA子が帰りの時間になっても教室に帰って来ないことに気づき先生達と一緒に探すことになりました。

校庭にも他の教室にもA子の姿は無く、急いで下駄箱に行くと白目をむいたA子がへらへらと笑いながら立ちすくんでいました。

「あたしゆみちゃんに会えたよあたしゆみちゃんあたしゆみちゃんあたしゆみちゃん」と繰り返し私にすり寄って来て抱きつこうとしました。

あたしは恐怖のあまり、ランドセルすら持たないで上履きのまま走り出し家に帰りました。

涙もよだれもわからないくらい泣きながらBちゃんに今起きたことを話し、家に帰って私は母親に今まで私達がやってきたことを話しました。

絶対こんなこと話しても相手にしてくれないと思っていたら、「あんた木の葉かなんか使わなかった?」と一言だけ母親がポツリと言いました。

「うん、使ったよ。もう持ってないけど…」と答えると「あんた何してるんだよ!?」パンっと平手打ちをされました。
そしてA子ちゃんがその木の葉を持っていることを伝えると、母親は誰かに電話をしてすぐ学校へと向かっていきました。後ろだけは絶対に向くなという一言を足して。

でも私は母親のこともA子ちゃんのことも気になって、そのままついて行くことにしました。

学校につくとA子ちゃんと先生と母親とお寺の人?が集まっていてお祓いみたいなことをしていました。

A子ちゃんの周りには大量の嘔吐した物が散らかっていて異様な臭いが蔓延していました。

相変わらずA子ちゃんは白目のままで笑っていて、机やイスの影に隠れて時折ちらちらと顔を出し誰かを狙っているようでした。

「ともだちともだちみんなともだちあたしのともだちゆみちゃんのともだちあたしはゆみちゃんともだちあたしのともだち」とを歌いながら嘔吐を繰り返すA子を見るに耐えることができず、もう帰ろうとして後ろを向いた瞬間

「みーつけた」と耳の後ろでA子の声がしました。口に木の葉を詰め込まれ「ずっと待ってたよ」と言われました。

そこからは記憶が曖昧になっていてほとんど覚えていません。
でもA子の口からはたくさん木の葉が吐き出され、次の日からA子は私達の前から忽然と姿を消しました。

一緒に儀式をしていたBちゃんはパソコンがトラウマになり、精神科通いをしています。

あの日の出来事はなにかの暗示効果なのかわかりませんが、好奇心で許されることと許されないことがあるということを学びました。


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