[死人を占う]
俺の知り合いに、みえる人がいる。 
その友人自体も俺からしたらなんか怪しいやつなんだが、 
たまに奇妙な眉唾ものの体験談を聞かせてくれる。 
これはその友人が某所で占い師をやっていたときの話。ちょっと長め。 
お前占いなんて出来るのか、と驚いたが、 
本人曰く「簡単。見えたの言うだけ。あれでお金取るの悪い気がするね」 
と、なんか怒られそうなことサラッと言ってくれた。 
友人はある駅の側で、小さな机にそれらしい水晶玉置いて、それらしい格好して、少しの間だが占い師をやっていたらしい。水晶玉は通販で買ったとか・・・。 
最初のうちは客なんてまったく来なかったそうだが、見料500円、という比較的安いお値段のためか、暇つぶしっぽい人がちらほらと来るようになったらしい。
友人「かなりリーズナブルなお値段なはず。同業者から文句言われそうだけど」 
俺「リーズナブル、というかお前、お金取ってやってたのか」 
という抗議はスルーされた。 
友人「その客の中で、スゴイのが来たんだよ。目の前に座ってきた時、あーこれは料金設定失敗したな、と思った」 
俺「どうスゴかったんだ?取り憑かれてたか?」 
友人「いや、なんというかな。ヨレヨレのスーツ着たサラリーマン風の男で、顔面蒼白で、酔っ払いみたいな足取りで」 
俺「なんか重病だな。占いというより病院紹介してやった方が良さそうな」 
友人「そうかもなぁ。でも、もう死んでたし、病院は意味なかったろうなぁ」 
俺「はぁ!?」 
思わず素っ頓狂な声を出してしまった。 
どうやら友人は、死人相手に占いをしたと言う。 
本当かどうか怪しい気もしたが、面白そうなので大人しく話を聞くことにした。 
友人「その客が、こんなこと言うんだ。「占い師さん、俺のこと見てくんねぇか」って。まったく困ったよ。だって未来は見れないだろうしさ」 
俺「ちょっとしたブラックジョークだよなぁ。それじゃ、言ってやったのか?「あなたもう死んでるから、未来ありませんよ」って・・・」 
友人「言おうと思ったが、なんというか、取りあえず見てみることにした」 
俺「見たのか・・・」 
友人「まぁね。でも水晶玉見つめてみたけど、なんにも見えなかった」 
俺「そりゃ、通販で買ったものだからじゃ・・・?」 
友人「いやいや、普通の人のならアレで大丈夫。まぁ、簡単な占いレベルなら、ただのガラス玉でも良いのだろうね」 
まぢですか・・・とか思いながら続きを聞く。
友人「仕方ないからカード使おうと思ったけど、なんか確実に良くないカードでるって分かったから止めておいた」 
俺「思いっきり死神とか引きそうだな。よく知らないが」 
友人「まぁそんな感じ。それで、どうしようかな〜と水晶玉見ながら考えたさ」 
俺「難しい顔しながら水晶玉見ていたわけか。お客を誤魔化すには良さそうだな」 
友人「そこで思いついたのさ。そうだ、死んだ時のことを思い出させよう、と」 
俺「んん?見る方法を思いついたんじゃないのか?」 
友人「それもよかったのだけど、やっぱりちゃんと成仏してくれないとヤバイからさ。ほら、悪霊とかになったら大変だし」 
俺「ただ見る方法が思いつかなかっただけじゃ・・・」 
友人「そんなことは、ない。まったくない。疑うな」 
どうやら見るのは諦めたようでした。 
続く