[さぼりの罰]

俺の家は、何週間かしたら定期的にお稲荷様にお供えだったかな?
何かするんだよ。

それを一時期サボってしまったらしいんだが
それからというもの、家の中の様子がずいぶん変わったそうだ。
よく大きな蜘蛛が出たり、襖に動物の模様みたいなのが出来たりしてな。
皆気味悪がっていたけど、サボっていることに気づかないので
放っておいたら、なんかお父さんだったかな?
夢でこの世のものとは思えない形相をした狐が夢に出たって話してたんだ。
それでもサボっていることを忘れているからお稲荷様が原因だとは気づかない
で、たまにどっかの寺のお坊さんが来るんだけど、その時も偶然来ていて、
いろいろ話をしていてくれたんだが、家の中に怖い顔をした狐がいると。
他にも動物霊やなんかよくわからないものがたくさんいるって話していたんだ。
何か思い当たる節はないか?と聞かれたんだ。

そったら親父がお稲荷様のことを思い出したので、お供えに行って謝りに行った。
でもそれで終わりではなかった。

その晩、家が火事になりかけた。何もないのに襖が自然発火したんだ。
まあ火はすぐに消したんだけど、不思議だったので家族全員が居間に集まった。
それで話をしているとどこからか話し声がしていたんだ。
そのときを思い返すとそれがお稲荷様だったのかもしれない。
急に天井を走り出すような音がしたかと思うと、電気がパッと消えた。

その時、俺だけが見えたらしいので幻かもしれないが
怖い顔をした狐がはっきり見えていたんだが、だんだん顔が優しくなっていって
そしてどっかへ走っていって、また電気がついて、何だったんだろうと皆で話した。

今でもお稲荷様へのお供えはかかさずやっているらしい。
でもやっぱり怖いのは人間霊より動物霊だよ。


次の話

Part168menu
top