[呪い]
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事態が飲み込めました。それなら、こっくりさんをちゃんと帰せばA君は助かるのでは?と思い、C君と私は再びこっくりさんに参加することにしました。

あの時の続き、ということで「は」の位置に十円玉を置き、指を起きます。A君がまた呪文を唱えます。そして言います。
A君「こっくりさん、どうぞおかえりください。」
しかし十円玉は動きません。もう一度言います。
A君「こっくりさん、どうぞおかえりください。」
動きません。私達も声を揃えて言います。
私・C君「こっくりさん、お願いです。どうぞおかえりください。」
A君「こっくりさん、ごめんなさい。お願いです。どうぞおかえりください。」

すると、十円玉がゆっくりと動きだしました。
・・・鳥居ではなく、文字の方へ。
「お」
そのまま次の文字へ。
「い」
次の文字へ。
「で」
そして鳥居に戻りました。

A君「おいで・・・?」
意味がわかりませんでしたが、C君が早く終わりにするように言いました。
A君「あぁ、ええと・・・こっくりさん、ありがとうございました。」
これでこっくりさんは終了です。
C君「A、気分はどうだ?」
A君「うん・・・なんか楽になった気がするかな・・・」
私「まだ、何か見えるか?まだ居るのか?」
A君「居ない・・・さっきまで居たとこには居ない。何も感じないし、もう平気なのかな。」
C君と私はホッとしました。A君もやっとぎこちないですが笑顔を見せてくれました。
その後、3人で外で食事をし、また近いうちに会おう、と言って解散しました。

しかしもう会うことはできませんでした。
その次の日のニュースで、A君が飛び降り自殺をしたことを知りました。

前日にA君と会っていた、ということで警察が私のところに来ました。
現場の状況と、遺書らしきメモ書きから自殺と断定したそうですが、その内容がどうも分からない、ということでした。
そこには一言だけ、こう書かれていました。

「Bが呼んでるから、いってくる」


私の話は以上です。

呪いというのは本当にあるのでしょうか。
私は霊を見ていませんし、こっくりさんも、A君が自分自身も知らない潜在意識で十円玉を動かしていただけかも知れません。
しかしその後にB君が事故で死に、それによりA君が長い間苦しみ、最後に死んでいった、というのも事実です。
これは呪いによるものです、と言っても、私は否定できません。


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