[呪い]
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私達他の3人は唖然とします。 
何聞いてんだ、やめろと言おうとしましたが、すぐに十円玉が動き出します。 
私はこの時ばかりは指に力を込め、十円玉を止めようとしました。 
しかし止まりません。十円玉は鳥居から抜け出し、最初の文字に向かいます。 
他のB君C君も止めようとした様子でしたが、それでも動きは止まりません。 
そしてこっくりさんが最初の文字を示しました。 
「は」 
皆凍りつきます。それはB君の名前の最初の文字でした。 
B君の顔を見ると、見る見る青ざめていきます。 
言われもない恐怖を感じ、A君も含み、皆一斉に指を離しました。 
B君は半泣き状態です。 
何故かA君を攻める気力も失せてしまい、その日はそれで終わりにして各自無言のまま帰宅していきました。 
2日後、B君が亡くなりました。 
呪いによる不可解な死・・・ではなく、交通事故でした。 
しかし当然こっくりさんのことが頭に浮かびます。 
A君、C君も同じように感じていたと思いますが、お互いにそのことには一切触れず、こっくりさんを行ったこと自体、暗黙の内になかった事として忘れることにしました。 
4 
それから約8年後のことです。 
A君は小学校卒業と共に引越し、C君は私とは違う中学へ行ったため、3人は小学校以降会うことはありませんでしたが、ある日突然A君から電話がありました。 
A君「Cと3人で会わないか?」 
昔のこともありましたが、どうしても会いたい、というので、1人暮らしをしているというA君の家で3人で会うことになりました。 
約束の時間に待ち合わせの場所に行くとC君が既に来ていました。 
約8年ぶりでしたが、C君は余り変わっていませんでした。 
そして遅れること5分、A君がやってきました。 
彼は変わっていました。 
昔は活発で運動神経もよく、リーダー的存在だったA君。 
しかしその面影はなく、すっかり痩せ細り生気のない顔をしていました。 
再会の挨拶もそこそこに、A君はすぐに家に行こうと言うので、3人でA君の家に向かいました。 
A君の住んでいるアパートはお世辞にも綺麗とは言えないようなアパートでした。何となく嫌な感じのする建物でしたが、A君の部屋に入るとその感じは更に増しました。 
部屋の壁のあちこちに何やら難しい文字のお札や、写経を写した紙が貼ってあり、変な形の水晶や数珠、お香の道具のようなものが置いてあります。 
一体何事かとA君に聞いても何も答えず、取りあえずそこのテーブルの前に座ってくれと言われました。 
テーブルの上には一枚の紙が置かれていました。 
紙には文字や数字や鳥居の絵・・・それは忘れもしない、こっくりさんの紙でした。そしてA君がこう言いました。 
A君「これはあの時使った紙だ。これからもう一度、こっくりさんをやるぞ。」 
続く