[返信できないメール]

久しぶり・・なんて言っても判らないわね。
去年までは携帯のメールさえ満足に打てなかったんだもの、無理もないよね。
私よ、な・つ・み。やっとあなたに言葉が届くようになったの。
あなたのことだけを想い続けて・・これでも、ずいぶん頑張ったのよ。
ここは冷たくて暗いけどそんなに辛くないわ。だって、ここは私達の思い出の場所なんだもの。
二人で何度も訪れて、何度も愛し合った場所・・そして、あなたが最後に私を裏切ったのもここ。
そう、クルーザーの甲板でぐちゃぐちゃに顔を潰された私が沈められた所よ。
水の上ではあんなに何もかも輝いていたのに、ここはちょっと寂しいのが残念。
何故か、魚一匹だって近づいて来てくれないんだもの。
でもね、あんなことされたけど、私は今でもあなたのこと愛してる。ほんとよ。
だから復讐なんて考えてないわ。
ただ、見てるだけだから。湯気の立つコーヒー、濁った水溜まり、水洗トイレの汚水から。
そうね、正直ちょっと反省してくたら嬉しいかも。
そして、たまに私のことを思い出して笑ってくれたら嬉しいな。

あっ、話が長くなっちゃったね。
ほんとは今日連絡を入れたのはちょっと聞きたいことがあったから。
・・・あの女は誰?
あの品のない金の縮れ髪した卑しい巨乳女のことよ。
なんだか彼女気取りで他人の家に上がり込んでたじゃない?
おまけにあなたがいないのをいいことにトイレで極太のうんこひり出してさ、それが臭いのなんのって・・。
私、頭にきて思い切りあの女のあそこに指を突き入れてやったわ。
あの女、口から泡を吹いてひーひー叫んでたのよ。生理でもないのにあそこから血まで流してさ。
あはは・・あなたもいい気味だと思わない?あなたに相応しいのは私だけだってのにね。

ねえ・・今度会いに行っていい?
なんだか身体に穴が空いたように寒いの。
もう叩かれても、他の男と一緒でも我慢するから、また前のように私をあなたでいっぱいにして。
こんな身体になっちゃったけど、少しくらい目を瞑ってくれるよね。
            海の底から・・永遠の愛に生きる女より


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