[嫉妬する霊]
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その日は居酒屋に行って、その後バーにいって軽く酔いを醒ましてから彼女をバイクで家まで送る予定だった。
バーから出たあと、彼女を家まで送ろうと後ろに乗せ、バイクで走り出す。彼女を無事家の前まで送りつけて、降ろす。
Aはまだ軽く酔っていて、早く寝たかったので、彼女が何か言おうとしていたのをシカトしてすぐ家に帰ろうとした。
Aはそのままボーっとバイクを走らせる。

彼女の家から五分くらい経ったあと、ふと、Aは気付く。




あれ?何で後ろに人乗ってんだ!!?

Aは一気に酔いが覚めた。彼女はさっき降ろした。そして今俺は家に向かっている。ならこの後ろから俺を抱えている奴は・・・!?
フルフェイスのヘルメットをかぶってバイクに乗っているのに若い女の囁くような不気味な声が聞こえる。

「わ た し じ ゃ だ め な の」

Aは気を失いそうになったが、何とかこらえて大声でこう言った。
「うるさい!うるさい!俺は○○(彼女の名前)がいいんだよ!!!」
Aは後ろの奴を振り払おうと蛇行運転しながらバイクを走らせた。
するとフッ、と後ろの奴がいなくなった感覚がした。
助かったかぁ〜、と思ってスピードを上げようとしたその瞬間

「あ゛ああ゛ぁぁぁあああ゛ぁぁぁあああああ!!!!!!」

とてもさっきの女のとは思えないごつい叫び声が耳に響き渡り、バイク前輪のホイールのサスペンションが一気に折れ、体ごと道路に吹っ飛んでしまったのだった。
そこでAの意識は途絶える。

気付いたらAは病院だった。幸い右足が折れただけで命に別状は無かった。Aは飲酒運転、ということにされたらしい。

その後彼女がお見舞いに来てこう言った。
「あの日、バーであなたのことをすっごく睨んでいた女の人がいたけどあの人は知り合いだったの?」

後日談
先日、Aから私に電話がかかってきました。Aはその彼女との間に子供ができて、ついに結婚したとのこと。
それでアパートは変えて三人で今暮らしていて、女の霊はもう見ないらしいです。今度飲みに行こうと誘われました。

ちなみにそのアパートは綺麗に改装して今も売りに出されてるそうです。
幽霊って脅かすだけじゃなく実力行使?に出る場合もあるんですね。


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