[彼女に申し訳が立たない]

ある晴れた日のことだ 快晴ってやつで空には筋みたいな雲が浮かんでいた
俺は当時つきあってた彼女と学校帰りにデートしてた
俺はその気持ちの良い空に目を奪われて うっかり足を踏み外して階段から転がり落ちた

全身打撲だらけでずきずき痛んで目を覚ましたのは病院のベッドの上
まるで子供のように泣きじゃくる彼女が窓辺の椅子に腰掛けてた
彼女はただぐずぐず泣いてて俺は彼女に声をかけて慰めたんだ
多分彼女が助けてくれたんだろうと思って涙ぐんでありがとうって連呼した

そしたらさとんとんと病室を叩く人がいるんだよ 振り返ってどうぞっていったら彼女の親御さんが来たんだ
「N君だけでも助かって良かった。 H子息を引き取るまで無事?無事っていってたんだよ」
窓辺の席をみてみたら彼女はいなかった
幽霊になっても助かった事が嬉しくて泣いて喜んでくれてたのか 俺はあんあん泣いた

その夜彼女がまた窓辺の席にすうっと現れた
消灯時間過ぎてたから非常口ランプを光源としたうっすら緑色がかった姿だった
今度は一緒に俺もわんわん泣いた 一人だけ助かったことがくやしくて俯いてぼろぼろでてくる涙をシーツの上に落とした

そしたら彼女が立つ気配がして
次の瞬間に俺は押し倒された
霊って力あって抵抗なんて出来なかった馬乗りになられて形で首絞められた
苦しさよりもさ彼女の顔ぐちゃぐちゃでさ
特別綺麗な顔でもなかったけど見てられないぐらいだった。
で、言うんだよ 浮気者裏切り者浮気者裏切り者その上殺すなんて これを繰り返すんだ

俺浮気した事がある
でも浮気相手は俺が振ったわけでもないし
大学満了でいなかにかえった家庭教師だった
だから彼女が知るはずないんだ
しかも俺が大学に合格したらセックスさせてって頼み込んだけで一度っきり 誰かに一緒にいたとこみられたってこともない
知るはずのない事を知ってる事がめちゃくちゃ怖かったけど
霊ってそういうものなのな

まあともかく
死ぬ直前まで俺の心配してた娘こんなにしちまうなんて
俺ってなんて馬鹿なことしてたんだろ そういう悔しさがこみあげて
息苦しさよりも頭が充血する感覚にぼーっとなりながらごめんって唇の動きだけで伝えた

その圧搾痕は今でも残ってる
顔中赤黒い斑点が残って消えないけど俺は生きてるよ


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