[髪の毛]

ある夏休みの出来事。
武(仮名)君はどうしても欲しいゲームソフトがあったので
お父さんにお願いしてみたのだが断られ、それでも諦めきれず
しつこく食い下がっていると、お父さんの方も段々イラついて
きたのか「駄目だって言ってるだろう!夏休みだからって何時
までも夜更かししてるんじゃない!早く寝なさい!」と怒られて
しまい引き下がるごとにした。
部屋に戻ったものの諦めきれない気持ちが次第にお父さんへの
不満へと摩り替っていき、いつしか「お父さんなんて死んじゃえ」
と思い始めた。
そのとき以前クラスメイトが話してた呪いの掛け方を思い出し
やってみる事に。
それは髪の毛を使う方法だった為に両親の寝室に忍び込んで
お父さんの髪の毛を手に入れ部屋に戻り、聞いたやり方を思い出
しながら実行してみた。
やる事をやったのですっきりしたので、その日はそのまま眠りに
ついた。
翌朝、目が覚めて冷静になると「大変なことをしちゃった、お父
さん死んじゃってたらどうしよう。」と思い始め、恐る恐る食卓
へと行くと何時もどおりお父さんが新聞を読みながら朝食をとって
いたのでホッとした。
よく見るとお母さんが居ないので「まさかお母さんの髪の毛と
間違っちゃったの?」と不安になり、お父さんに「お母さんは?」
と聞くと「ゴミを出しに行ってるよ」と言うので再びホッとした。
そこへお母さんが蒼白い顔色で戻ってきて「お向いの田中(仮名)
さんの大学生の息子さんが今朝見たら亡くなってたそうよ、この
前会ったときは、とても元気だったのに。」


次の話

Part167menu
top