[呪いの連鎖]
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それから俺は暇があれば、Aの元に見舞いに行き、Bともよく話をした。
Aの病状は一向に良くはならなかった。
2ヶ月も経たないうちにAは危篤状態に陥った。持ち直すことなく
Aは他界してしまった。

俺が駆けつけた時にはすでにAの体からは温もりは消えていた。
Aは自分が亡くなった後のことをよく考えていてくれた。
Bに保険のことや遺産のこと、俺とBに葬儀のお願いや後の処分方法など。
Bに宛てた手紙、俺とBに宛てた手紙、そして俺に宛てた手紙。

俺とBに宛てた手紙にはもの凄く感謝の込められたものだった。
Bに宛てた手紙も同じようなものだったらしい。
ただ俺個人に宛てた手紙は違っていた。
その手紙の内容はBに見せられるようなものではなかった。

Aが亡くなって半年ほど経った。もうすぐBは出産する。
無事に生まれてきてほしい、何事も無く成長してほしい。
ひたすらそう願うしかない。

俺はAの残した遺言で今も悩んでいる。なんでこんな物を残したんだ。
Aの残した手紙の中には、俺とBの婚姻届が同封されていた。
そしてAの残した手紙。

「Bのお腹に居る子供は俺の子供ではない、お前の子供だ。
だからお前は責任を取ってBを幸せにしろ。」
Aは子供が出来ていたことに気づいていたのだ。

だからって強引に俺の子供にするなよ。お前なりに考えたことだろう
きっと呪いの事で頭がいっぱいになっていたんんだろう。
お前の気持ちは良くわかる。でもこれはないだろ。
最後にAはこう綴っていた。「頼むからBを幸せにしてくれ
頼むからこの願いを叶えてくれ、もし叶えてくれなければお前を呪う」

Aの身の回りで起きたことは偶然だと俺は思いたい。Aが呪われる必要は
何一つ無かったはずなんだから。

もしかしたらこれは俺自身が招いたのかもしれない。
今までしてきたことの罰なのかな。


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