[目印の赤い布]

104で書いた親友三人グループというのは俺、N、Oの三人なんだが、俺がそのグループに入ったのは小学校5年の春だった。
つまりこの話は作り話である可能性もある。
小学三年生の夏。N、Oの二人は近くにあるOY公園(これもまだ実在)で遊んでいた。
俺の住んでいた町は市街地に山が隣接しており、OY公園はちょうど山の一部分が市街地に突出したような形になっている。
彼らはOY公園の中でも殆ど獣道と化した山側ルートから、さらに奥地へ踏み込んで行ったらしい。
彼らはやがて道すらも見えない山の奥地に入り込んでしまった。彼らは困り果てていたが、偶然にも木に目印らしい布が結ばれているのを見つけた。
木に結び付けられた赤い布・・・それだけを頼りに彼らは歩いていくと、小さな廃屋らしきものをみつけた。
だが、そこには人の気配はまったくない。そこで彼らは軒に座ってすこし休んだ。
休みを終え、これ以上わけのわからない方向に向うのはマズいとかんがえた彼らは赤い布を辿ってもとの所に戻る事にした。
すると廃屋に最寄の赤い布が”落ちている”のを発見した。そして、傍に先ほどまで無かった赤い布が落ちている事を発見した
彼らは怖くなったが、すこしでも手がかりがある方向へ・・・と考え、落ちている赤布をたよりに歩いていった
そして彼らがたどり着いたのは墓石か、碑石だった。明らかに御札にしか見えない紙片が覆いつくさんばかりに貼り付けられていたそうだ。
その時、彼らはようやく気付いた。森の中から幾つもの視線がこちらに投げかけられている事を。
彼らははぐれない事だけを考えて、森の中を走り抜けた。そして気付いたとき、H靴屋のゾウの看板が見える森の切れ目にたどり着いた。
何時間も山に居たと思ったのに、陽はまだ高かったらしい。
俺は高校時代。その話を思い出してOY公園に行ってみた。そして矛盾に気付いた。OY公園とH靴屋の看板が見える森のあいだには市街地があり、
森の中を彷徨ってたどり着く事は絶対に出来ないと。
当時、Nとの関係は希薄になっていたので、Oにメールでその矛盾を追求してみた。俺を散々怖がらせやがってwと笑いながら。
彼の返事はこうだった「今頃気付いたのか。俺はまだその矛盾を解決する言い訳を考えているのに」


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