[引っ越し先の怪異]
今の所に引越してきてから変なことがたまにある。 
何年か前、夜中にふと目が覚めたときのこと。 
なんだまだ真っ暗じゃないか…と思いつつもバッチリ目が覚めてしまって寝付けなかった。 
布団の中でゴロゴロしていたら、枕元の座布団が「ポスッ」って音を立てて凹んだ。 
ぎょっとして数秒、座布団を凝視。 
それ以上は何も起こらなかった。 
金縛りとかはなってなくて普通に動けたが、なんだったんだろう? 
因みに、座布団は朝になっても拳大の凹みがついたままだった。 
今の所に引越してきて間なしの、1月頃。 
部屋の南西の角に置いた机で勉強していたら、前髪がなびいた。 
寒いから窓もドアも締め切ってるし、エアコンはつけていなかった。 
自分の息でもない。 
なんだかよくわからないが、固まっていると首筋にも空気の流れを感じた。 
…… 
そういえば、この部屋に引越してきた時、何かイヤな感じがして 
布団を敷く位置を部屋の入口にしたんだった。 
部屋の奥、机の背後は本棚でぎっちり埋めた。 
何かあったとか言う話は聞かなかったけど、あの風はなんだったんだろう? 
3年くらい前の今頃の季節。 
夜中にふと目が覚めた。 
暑かったのか、布団を蹴って左足を立て膝にしていた。 
その膝に誰かが手を置いている。 
因みに、自分は一人暮らし。 
???となって、膝を見たが何もない。 
女の人っぽい柔らかい手の感触だけがある。 
「あの歌が聞きたいのに」と、女の人が言った気がした。 
へ?何言ってんの?あの歌って…あの歌? 
何故かどの歌のことかわかった。 
でも夜中に歌なんて歌えないし…この世の人じゃないのは明らかなので 
聴こえなかった振りをした方がよさそうな気がした。 
そんなことがあったのを忘れた頃に、部屋であの歌を歌った。 
(当時は機嫌がいい時、鼻歌じゃなくてちゃんと歌っていた) 
一気に部屋の空気が和んだ。 
和んだ事でその夜を思い出した。 
自分は歌は上手くないんだが、幽霊?の女の人はリクエストして待っていたらしい。 
それ以来、何もないので成仏してくれたのかな…と思う。