[語呂合わせ]

皆さんは番号のゴロ合わせに縁起を担いだりしますか?

今から15年前の話になりますが当時私は小学5年生の甘えん坊で、
何かにつけて母ちゃんにくっついて行動してました。
ちょうど3月の春休みだったと思います。その日は大好きだったジブリシリーズのラピュタが
テレビで放映されていました。ウチは3人兄弟で、母ちゃん、妹、兄貴と一緒に興奮しながら居間で
ラピュタを見ていたのですが、夜も9時過ぎになると妹が眠いと言い出し、母親に付き添われて2階の
子供部屋に連れて行かれました。
私はラピュタをコンプリートして見たことがなかったので是が非でも最後まで見てやろうと、兄貴と一緒
に一階の居間のテレビに噛り付いていました。
ちょうど10時くらいでしょうか。いつまでたっても母親が2階から降りてこないので、マザコンだった
私は「妹と一緒に寝てしまったのかな?」と少しつまらない思いをしていました。
ですが、ラピュタは天空の城を発見し突入するところだったので、すぐに意識はそちらに釘付けになりました。
そしてさらに30分くらい経った時、親父が会社から帰宅したのです。
「ピンポン ピンポーン」 当時、親父の帰宅合図として、家のチャイムを2階鳴らすのがお決まりに
なっていたのですが、当然出迎えるはずの母親が2階から降りてきません。
「これは、いよいよ妹と一緒に寝ちゃったな。」と思い、兄貴が小走りで玄関の鍵を開けに行きました。
親父は金曜日ということもあってか、幾分飲んできたような感じでしたが、母親が2階にいることを兄貴から聞くと
トントンと階段を上がり様子を見に行きました。

俺と兄貴は相変わらずラピュタに夢中で、場面はいよいよ終盤のクライマックスに近づいてきました。
その時です。ドタドタドタッと階段を駆け下りる音がしたと思うと、親父が血相を変えて居間に飛び込んで
きました。
「圭一!(兄貴の名前)救急車呼んでくれ!母ちゃんが吐いたまま倒れてる!」
なぜか私は状況が読み込めないまま、頭が空っぽのままテレビを凝視しておりました。
そしてしばらくすると兄貴が、
「父ちゃん、電話が救急車に繋がったんだけど、こっちの声が向こうの人に聞こえないみたいなんだよ!」
親父は、居間で薬箱をひっくり返して何かの薬を見つけると、母親に飲ませようとしてたみたいですが
何度飲ましてもゲエゲエと吐いてしまうようでした。
親父も兄貴もパニックになっていて、兄貴は壊れた電話に向かって叫んでいました。父親はやっとの事で
「電話繋がったか!? もう母ちゃん気絶しちゃってる!夜中だから酒屋さんとこの公衆電話までいって
救急車呼んでこい! 誠司(私)は外出て救急車が家わかるように立って手を振ってろ!」
と指示を出しました。家は田舎にあり、夜も遅いことから、家から一番近い公衆電話まで行くしかありません。
酒屋さんの公衆電話は走って10分もかかります。
やっとのことで救急車が到着して、母親が担架に乗せられると「ウーウゥーッ」と苦しそうに唸っています。

脳内出血。それが母親の病名でした。病院に運ばれた時にはすでに300cc(うる覚え)以上出血しており
助かる見込みは少ないとの事でした。
2週間程、集中治療室に入院しましたがあっけなく死んでしまいました。
もっと早く母親の異変に気づいていれば、あの時テレビに夢中になっていなければ、救急車を早く呼んで
いればと今でも後悔しています。
あの時なぜか繋がらなかった電話。
家の電話番号は「****-64-4255」。ゴロ合わせで「****-無視-死にゴーゴー」
まさかそんな言葉遊びで、人の生死が左右されるとは思いませんが、親父は母親の葬式が終わった後
真っ先に電話を買い替え、番号を変更しました。
もし、この様な不吉な電話番号をお持ちの方がいらしたら、直ぐに変えることを勧めます。


次の話

Part165menu
top