[人形]
これは、私が小学4年生くらいの時に体験した話しだ 
その時通っていた小学校のバザーで、外国製の身長が30pくらいある人形を見つけた 
ドレスを着ていて、古かったが今まで売れなかったのが不思議なほど、綺麗な人形だった 
私は「これは掘り出し物かもしれない!」 
と思い、その人形を受付(レジ)へ持って行った 
その受付を担当していたPTAの保護者は、何処と無くおどおどした様子だったが 
その時の私は綺麗な人形わ手に入れられたのが嬉しくて、あまり気にしなかった 
        
家へ帰ってから、さっそく自分の部屋の本棚にその人形を飾った 
人形は黙って空宙を見つめていた 
        
その夜、私はあまり寝付けず、何回か寝返りをうっていた 
しばらくして、仰向きになった時、ドサッと私の上に何かが覆いかぶさった 
その瞬間、私は動けなくなった 
声を出そうとするが、口が動かない 
唯一、目だけが動かせた 
私は重みがした、掛け布団の上を見た 
暗闇の中に、二つの青い光が見えた――いや、あれは目だ あの人形の目だ 
不気味な笑顔を浮かべながら、私の顔を見つめている 
口が動いていたが、何を言っているのか分からなかった 
私が憶えているのは、これだけだ