[掛け軸]

流れをぶった切って一つ話を投下させて下さい。読みにくいし、ちょっと長いです。ごめんなさい。

俺の家には嫌な絵がある。
いわゆる掛け軸で、作者不明で描かれているのははショウキだった。
俺の家にあるというのはちょっと大げさで今は地元の神社にある。
この絵は俺の親父が子供の頃に俺の祖父が知り合いからもらってきたものである。
もらったいきさつは祖父の知り合いが亡くなって、その奥さんからぜひもらってほしいと言われたといったものだ。
しかし、生前故人とさして親交が深かった訳ではない祖父が貰い手になったのは実は厄介払いの為だった。
というのもその絵の持ち主は必ずごく自然な形で死ぬ(心臓発作とか)からだ。
ちなみに故人もどこからか譲り受けたのだがその前の持ち主もやはり若くして亡くなっている。
その前も多分そうなのだろう。
曰く付きの絵、ということだが祖父は大変気に入っていたという。
手放すきっかけとなったのは、俺の親父がかわいがっていた鳩が1羽残らず突然に死んだからだ。
さすがの祖父もこれには気味悪がったらしく地元の神社に納めたのだった。

ところで、その神社は地元では有名でだいぶ前に二回ほどテレビの取材がきたことがある。
そこの神主さんは俺の七五三のときにはだいぶ年を取っていて読み上げる祝詞なんかはカセットテープみたいだった。
町の歴史に強く、相談事には親身にのる神主さんだったが祖父のこの絵の件に関しては固く拒んだらしい。
祖父は祖父でこんな絵を持っているのは嫌だったので本気で土下座してようやく預かってもらえることになったそうだ。
ここで、その絵と俺の家との関わりはいったん途切れる。
関わりが復活したのは俺が小学校5年の頃だ。

当時の俺は始終狐に憑かれたような悪ガキだった。
神社でよく仲間と木登りをしていたのだがある日、神主さんにトッ捕まって社務所の奥の座敷に連れて行かれた。
聞かされるは優等生だった俺の親父の話でいかに俺がバカかを諭す内容だったのだが思い出したように神主さんは例の絵の話を始めた。
俺は聞かされたこともない話に夢中でその絵を見せてくれと頼み込んだ。
神主さんは渋々見せてくれたがその絵のすばらしさは本当に国宝級だと子供心に思った。
そして、神主さんが話した話は何となく言いにくくて親類の誰にも話せなかった。

続く