[幼子の悲鳴]

もう17、8年くらい前の話だ。

高校を卒業して埼玉に就職して、半年くらいで中古車を買ったんだよ。
車を手に入れた事が嬉しくてさ、仕事が終わるとそのままドライブに行く
事が多かった。

ある日秩父の方まで足を伸ばして、山の中を流してたら、いきなり耳元で
幼い子の悲鳴、というか断末魔みたいなのが聞こえたんだよ。
当然急ブレーキ。霊体験なんて無かったから、車を路肩に停めてガタガタ震えた。

夜だし停めておくのも怖いんだが、嫌な汗はかくし、足は震えて言うこと
聞かないし、とにかくパニックだった。

それでもカーステのボリューム上げて、さっきのは幻聴だと言い聞かせて、
何とか住んでる町まで戻った。

それから3週間後くらいだったかな。ニュースを見てたら俺が走った山が
映ってさ、アナウンサーが「宮崎勤被告が、殺害した女の子を焼いた場所を
自供しました!」って。

目の前が真っ暗になった。未だにあの悲鳴が耳にこびりついてるよ。


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