[森の妖精さん]

マジで洒落になんなかった話。
怖い話って言うか脱力系なんだけど、一応オカルト話だから聞いてくれ。

昔、男女3:2で肝試しいったんだよ。ちょっとした流れでそういう話になってさ。
とりあえず、地元で有名な山の方の白い廃屋に行ったんだ。
で、車でちょっとした山道をぐるぐる回っていたら、俺具合が悪くなってきちゃって。
ここに来る前に5人で宅呑みしてて、おつまみのカラムーチョ&ピザポテトを食いすぎた所為だと思うんだけど。

で、家に入る獣道みたいなところに着いたときには、もう俺の肛門が裂けそうな位に痛くてさ。
たとえるなら、いまにもイオナズン唱えそうなくらい。

それで、ツレのA男にこっそり耳打ちして『スマン、俺ウンコしたいわ…』。A男『ハァ…?しゃーねーな』。
で、俺は皆に『ごめん!ちょっと途中で時計落としたッぽい。探してくるから先家に入ってて』つって
先に行って貰ったんだよ。
で、即効来た道引き返して、車道の反対側の草むらで脱糞。
いつもなら怖くて一人じゃいられないんだけど、やっぱウンコの力って凄いね。

してる最中、ずっと後ろで舌打ちや溜息。ブツブツ「何でこんなとこで…」「マジウッゼー…」
ああ、ほんとにすまんA男。
ホントにイライラしているのがひしひしと伝わってくるので、気まずくて俺は無言でぷりぷりするしかなかった。

で、とりあえず一段落して、ケツを拭こうかとポケットをまさぐったら、ティッシュがないwww
焦ってアウターの中も探したけど、元彼女(既にフラレているがw)に初めて貰ったプレゼントの
ハンケチしかないわけよ。

うわあヤバいなあ。
ここはいっちょワイルドに草でケツを拭く…と思ったけど、周りには細い上に触ると指を切りそうなハードな葉っぱしかない。
肛門がかぶれたらもっとヤバイ。

焦燥感とこの非現実的なシチュに対する若干の興奮で頭がパニくってると、
背後で史上最大の溜息。
で、『あ〜〜〜〜。これ使えよ…ッたく』って囁きと共に差し出されたモノが!
俺には優美に輝く、柔らかな天女の羽衣に見えたね。実際は黄ばんだ固めの布切れだったけど。
『わ…悪い。ホントにスマン。』と俺は平身低頭しながらケツを拭いた。
厚手で気持ちよかった。

俺はホントに感謝してる。

もうここまで読んだ人は大体お察しだと思うんだが、俺の後ろには最初から最後まで徹底的に誰もいなかったんだよねw
ありがとう。森の妖精さん。


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