[黒い人]

前に会社の寮に住んでいた頃に怖い体験をしました。
元々、あの寮は古くて、若干気持ち悪かったのですが・・・

体験をしたのは、二人部屋の時で、同期のヤツと同じ
部屋でした。その部屋は8畳ほどで、部屋の両隅に備え
付けの二段ベッドがありました。たぶん、昔は4人部屋
として使われてたのでしょう。
二段ベットは木のはしごが取り付けられており、二人とも
上のベットは荷物置き場にしていました。

ある夜、1時も過ぎたので寝ようかと言うことで電灯を
小さな常夜灯にして二人とも布団に入りました。
私は、あまり寝付きが良いほうでないので、しばらく
起きていましたが、友達の方は寝たらしく寝息が聞こえて
いました。

そのうち、時計を見て「やばいな〜もう2時だよ」寝付け
ないな〜と思っていると、体が急に動かなくなり金縛りに
なりました。
「何?何?」と思っていると、寝ている私の喉元がサワサワ
触られている感じがして金縛りのまま目だけ開けました。
そうしたら、仰向けに寝ている私の喉元をベットの外から
右手を伸ばして触っている真っ黒な人物がいるではありま
せんか!!
手の太さからして成人男子のようでしたが、小さな常夜灯が
ついているにも関わらず、全身真っ黒の人影でした。
なので、顔も分からず、髪があるのかないのかもわかりま
せんでした。

始めは、隣で寝ている友達のいたずらかと思ったのですが、
友達の寝息は聞こえ続けていて明らかに別人でした。

私は、「ヤバイ、怖い!」と思い、「やめてくれ!やめてくれ!」
と叫びましたが、金縛りで声が出ずうーうーうなるだけでした。
その黒い人は、ひたすら触り続けているので、必死でもがき、
「うわーーーーー」
と叫びました。そのとたん、金縛りはとけ、黒い人も消え去り
ました。
あとに残るのは、寮の廊下に残る私の叫び声の残響だけでした。

不思議なことに廊下に響き渡るほどの叫び声を上げたにも関わ
らず、同じ部屋に寝ていた友達は起きませんでした。
私は、もう寝ることができず、
「冗談じゃねぇぞ、冗談じゃねぇぞ」
とつぶやきながら、部屋にあったウィスキーをロックで朝まで
飲んでた次第です。


この寮では、この後に数回、金縛りにあったのですが、幸いにも
黒い人はあらわれませんでした。
ただ、金縛りの最中に耳元、と言うより頭のなかでマーチの
ような音楽?がずーと聞こえていたと言う経験もありました。
なんなんでしょうね?
お経だったらそれっぽいんですが。


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