[鶴川奇譚]

オカ板の住人なら、町田の鶴川と言う地名を一度は聞いた事あるだろう。無い人も、色んな場所で検索してみるといい。
色んな話が出てくるから。

アタシは、そこで生まれて育った。

そんな土地で育ったせいか、はたまた自分がまだ10代だからか(若い奴は大人よりもそういうのをかんじやすいと聞くので)、特に居る筈のない人が見えたりするわけではないが『あ、この場所誰かいるな』程度ならわかる。

過したのは、家を出るまでだから16年。
幼稚園も小中学校も、3ヶ月だけ通った高校も鶴川だった。
高校を辞めてから、不便なのでずっと都内に住んでいるのだが今思えば雰囲気も空気も全く違う。

都内に比べれば都下の町田市なんて神奈川県に間違われる程田舎である。都内に比べて息苦しさもない。
でも、都内にはない何か違う空気がある事に最近気付いた。

そのいくつかのお話をさせてください。

終電で帰ってきて、自転車で家までの道を走っている時の話だ。

やたらと坂が多い土地で、自分の家まで行くのにどの道を通るにしても必ず坂をのぼらなければならなかった。

のぼるポイントはいくつかあるのだが、どうせのぼるなら始めに上ってしまおうと、アタシは一番初めの、一番急な坂をのぼっていた。

鶴川と言う駅は、小田急線の各駅停車駅で利用者が一番多い駅なのだが、その坂のおかげで自分の家まで歩きや自転車で帰る人は少ない。アタシでさえ、マウンテンバイクに乗っていたくらいだ。

坂を上りきると、そこからは軽い住宅街。途中墓地があったりするのだが、そこは不思議となにもない。(鶴川の墓地についての話は他にあるのだが;)

その帰り道で一番気持ちわるいのは『駐車場』なのだ。

別になんのへんてつもない、その辺の地主さんが管理してる駐車場。
なのに、他の道に比べて気分が悪くなる。

アタシがいつも通ると、外付けの自転車のライトが消えたり、サンダルが脱げたり鞄が落ちたり、なんかしらでその場に止まらなくてはならない状況に陥るのだ。

そして止まると、必ず向かいのアパートの共同洗濯機が動き出すのだ。

そしてその駐車場はブロックの上で少し高い所にあるのだがそこのフェンスがガチャンと誰かが揺らしたように揺れる。


一番怖かったが、とうとうその道で転んだとき。駐車場の方から女の笑い声が聞こえた時は流石に泣きながら家に帰った。


そして不思議と、次の日学校でネタにしようと思っていてもその事を忘れてしまい、その道に差し掛かる時に思い出す。

今思えばそれも不思議だ。


もしかしたら知り合いの土地の駐車場だったかもしれないから、今度聞いてみようかなぁと思うのだが結局もう実家に帰る事もないので聞けずじまい。


都内に引越してからまだ一度も鶴川で体験したような事は体験していない。


次の話

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