[おねむの霊]

一応実話。

私が9歳、妹が6歳の時。
その日は家族みんなで居間に集まり、テレビ見て過ごしてた。
何かくだらないバラエティーだった気がする。ウッチャンナンチャンとか出てた奴。
その内だんだん飽きてきて、まだ眠くなかったけど私だけ寝室に移動した。
ちょっと布団の上でゴロゴロして、またすぐ居間に戻るつもりだった。

当時の家は父親の勤め先の社宅で広さはそんなに無かったんだ。
だから寝室は私と妹用の二段ベッドと、母親の布団がやっとの思いで敷いてある状態だった。
ちなみに父親は一人部屋が別にあって、そっちで寝てた。

寝室は居間から離れた場所にあって、暖簾も掛かってたから中は真っ暗だった。
いつも自分が寝てる所でゴロゴロすればよかったんだけど、何せ二段ベッドの上だしハシゴ昇るのも面倒だしで、
もう敷いてあった母親の布団に転がろうとしたんだ。
そこで違和感を感じた。
真っ暗な部屋の、母親の布団の上。


男の人が寝てる。


掛け布団の上に、仰向けになって、知らない人が寝てる。
小さかった私は思考回路が凍り付いて、何も言わずに急いで部屋から出た。
家族の揃ってる居間に戻ってから「え?え?今の何?」って必死に落ち着こうとしてた。
うちは父、母、妹の4人家族だし、親戚なんか遊びにきてもいない。
もしかしたら布団の捲れ具合でそう見えただけかもとか、暗かったら見間違えたんだって思ったけど確かめにいく勇気は無かった。
しばらく母親の隣で固まってたその時、最悪の事態が起きた。

テレビに飽きた妹が、私と同じように寝室に走っていってしまったんだ。
あっ!って思った時にはもう遅かった。
妹の姿は寝室の暖簾の向こうに消えて、それからすぐ

「ぎゃーーーーーーーーーっ!!」

って妹の叫び声がした。
当然父も母も驚いて寝室に駆けつけた。
私も急いで後を追った。
母が寝室の電気をつけると、大泣きしている妹がいた。
どうした?何があった?って父が聞くと、妹が寝室の奥、母の布団を指差して言った。


「兵隊さんが寝てる」


それを聞いた瞬間、怖くて怖くて私も母に泣きついた。
「私もさっき見た。男の人が寝てた。」って言ったら両親も顔を青くしてた。


結局その部屋がいわくつきだとか、そういう話は一切無かった。
その後も2年くらいそこに住んだけど、幽霊は一回も出なかったし。
私も妹も霊感はないけど、その兵隊の事だけは時々話題に上る。
その度妹には「何であの時止めてくれなかったの?」と怒られるw
あんま怖くないな。長文スマソ


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