[プラネタリウム]
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顔が焦げて原形が無いもの。
腕とか足が無くなっているもの。
どれもこれも、耳がおかしくなるくらい大きな声で叫んでいました。
唸ってるようにしか聞こえないのもありました。
僕もああなるのかと思うと怖くてたまりませんでした。
聞き覚えのある声が聞こえました。
Rの声でした。
僕の名前を呼んでいました。
でも、僕に見える限り火達磨の中にRの姿はありませんでした。

「あああああああ!」という一際大きい悲鳴が聞こえたかと思うと、すぐその声は止みました。
穴が目前に迫っていました。
声が途絶えたのは、穴に吸い込まれたからだと思います。
火達磨がどんどん吸い込まれていきました。
穴の奥は全く見えませんでした。
Rの声が大きくなってきました。
穴に近付きすぎて視界は一面真っ暗です。
落ちたらどうなるか怖くて仕方ありませんでした。
自由落下から明らかに吸い込まれる感覚に変わりました。さらにスピードが上がり、熱くて、怖くて、何もできなくて、どうしようもありませんでした。

完全に中に落ちると思った時、思いっきり右頬を張られました。

僕は横ざまに倒れ、何かにガツンと頭をぶつけました。
まわりが真っ暗なのでさっきの穴の中だと思いました。
しかし、さっきまでの浮遊感や熱さや空気摩擦は感じませんでした。
代わりに何か地面を感じました。
突然明るくなりました。
電気の明かりでした。
間違いなく、僕は、僕の部屋にいました。
Rが青い顔で僕を見ていました。
「大丈夫?殴っちゃってごめん…」
たしか、こんなことを言ってたと思います。

Rの話では、僕は「プラネタリウム」を覗いたら急に激しく震え、叫びだしたそうです。
大声で呼びかけても反応せず、窓もドアも開かず、電気もつかず、電話もどこにも繋がらなかったそうです。
そのうち僕がだんだん熱くなってきて、パニックになって思わず僕を殴ってしまったそうです。
部屋の時計は午後3時を指していました。
とりあえず換気しようと窓を開けました。
外は真っ暗…夜になっていました。
窓から見える公園の時計は8時を指していました。
「プラネタリウム」は僕が預かり、今も押し入れに押し込んだままです。


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