[妖怪?]
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そいつは俺に気づいたのか何なのか
爪先立ち⇒ペタン⇒爪先立ち⇒ペタン みたいな感じで器用にひょこひょこ近づいてきて
何か話しかけてきた
ただその話し声がなんていえばいいのかわかんないくらい変な感じで
ものすっごいでかくて響くコソコソ話?? とんでもなくうるさいんだけど
何いってるかは全然わかんなかったけど不思議と全く怖くなかった
伝わってないってことがわかったのかそいつは俺の手を引いて
階段をまた器用にペタンペタン下りてあの段々がある部屋まで歩いた
その段々の前をしばらくぐるぐる一緒に回った後に
お銚子とお猪口とって飲み始めた
ただどんなに飲んでもお銚子からは水(俺が飲んだときは味付けた水みたいだった)が出てて
一杯飲み干すごとにまたあのやたらでかい声でなにやらボショボショ呟いては飲んでを繰り返してた
なぜかわからないけど俺はそれを見てるうちにやたらおしっこしたくなって
そいつから手を離そうとするけど離してくれないので
ちょっと力を入れて引っ張ると意外にもそいつはお猪口持ったままついてきた
しょうがないのでそのままトイレに行って小便した
小便してる間もそいつは呟きながらちびちびやってて
うるせーこいつ とか思ってたんだけれど 小便がなかなか止まらない
というかとまらない 自分でもびっくりするくらい

したらそいつがずるーっと手を伸ばしてきて お猪口を差し出してきた
やたら美味しそうなにおいがしたので小便しながらそれを飲んだら
とんでもなく渋い味で飲んだ瞬間気持ち悪くなってむせた
それと同時にあれだけ滝のように出てた小便がぴたりと止まって
おおお すげえ! そう思ったときにはいつの間にか家の門の外にいた
チンコだしたまんま
朝だと思ってたのに夜中で 怖くなったので門をくぐって玄関へ

入ろうと思ったのに鍵がかかってて なんか恐ろしくなったのでバンバンとを叩いたら
ドタドタドターっと中から音がしてばあちゃんが血相変えて飛び出してきた
「あんたどこいっとったんね!!??」って
あったことを全部じいさんとばあちゃんに話したら
「たりがみさんじゃ」 って
なんか二人で納得してるから まあ怒られないんならいいかと思ってその日は寝た
びっくりしたのは次の日
俺は鍵のかかったあの部屋を抜け出して丸一日どっかにいってたらしい
その後俺は別に何もない 怪我も病気も身内に不幸も全くない

兄貴に娘が生まれた 今年で4歳になるのだけれど
その子が最近家の中で見えない誰かとしきりに話してるらしい
で 兄貴自身はそいつを見たことがないってんだけど
兄貴の嫁さんがそいつが見えたらしい

真っ白で 大きくて 変なものかぶった奴

そういえば兄貴もあの水飲んだから
今度は兄貴のところにいったのかと あいつ閉じ込められてもいなかったし
姪っ子の話し相手になるくらいだから悪い奴じゃないと思うんだけど
嫁さんは凄くびびってるらしい

姪っ子は他にも変なものが見えるみたいで
俺が青い地蔵みたいな子供二人と手をつないでるとか 
よくわからんことをいうから よくある子供の妄想かもしれないんだけれど

もんぬっさんとか たりがみさんとか まらあどとか みなわきとか
俺は一切判らんし じいさんは教えてくれない
一体何なんだろうね


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