[幽霊見ちゃった]

オレが昔住んでたところであった洒落にならなかった話。

オレは厨房のころ、ことさらオカルトが大好きでよく心霊番組や稲川淳二の本とかを読んでたのね。
そいで、いつだったか、学校から帰る途中で公園の前を通ったんだ。まぁ、いつもの帰り道なんだけどね。
夕日が沈むか沈まないかの微妙な時間帯だったと思う。
公園のベンチに、髪の長い白いワンピースを着た女の人(?)が座ってたんだわ。
当時オカルトにハマってたオレは「うわー、いかにもな恰好してんなw」とか思いながら公園の前を通り過ぎた。
次の日、オレはクラスで前の日に見た「いかにもな恰好をした女の人」を、幽霊に仕立て上げて偽体験談を語って、クラスの注目を集めた。
「オレ幽霊見ちゃったよ!」みたいな感じでさ。
その日の帰り道、オレは得意になってて、例の公園の前にさしかかると「あの女の人いねーかなー」とか思って若干wktkしてた。またいたらもう一度話のネタにするつもりだった。

そして、公園の前まで来たオレだったが少しがっかりする。あの女の人はいなかった。
別に幽霊じゃないんだから当たり前か、などと思い、家に帰った。
その夜、飯も食って風呂にも入って「さぁーて寝るか」ってときになって我が家の黒電話が鳴った。
家族も寝ちゃっててオレ一人だったので、「こんな時間に誰だよ?」と思いつつも電話に出た。
電話に出ると、枯れた女の声で一言
「喋ったな」
オレは受話器を叩きつけると泣きながらベッドに走ってったよ。それ以降はあの女の人も見ないし洒落にならない体験もしてない。


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