[なんだったんだ・・]

友人Aが出張先の安ホテルに泊まったときのこと。
チェックインを済ませて部屋に入り、少し時間もあるのでベッドでごろごろしていた。
横に向けていた体を仰向けにすると、天井に火災報知機のセンサーがある。
半球形で艶のあるプラスチックのカバーがついていて、
そこにAの顔が丸くゆがんで映りこんでいる。
口を開けたり目を見開いたりするとおかしな顔になる。
面白いのでしばらくそんなことをしていたが、すぐに飽きてまた体を横に向けた。
はたと気づく。
天井に半球形のカバー。よくお店にある防犯ミラーと構造的には同じだ。
すると、そのカバーには部屋の景色全体が映りこんでいないとおかしいんじゃないか?
さっき見たときは、半球形のカバー一杯に自分の顔が映っていたはずだ。間違いなく。
はっとなって天井を見る。
半球形のカバーには、天井から見下ろした部屋全体の景色が映っていた。


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