[悲しい事故]

それは悲しい事故だった。
被害者は兄弟で買い物に来ていた弟の方だそうだ。
その兄弟は近所でも評判の仲のいい兄弟だったそうで
亡くなった弟はいつも「兄ちゃん、兄ちゃん」と兄の後ろについていったそうだ
事故の日も一緒におつかいをし、その帰りだった
兄は道の反対側で友達を見つけて弟に

「すぐ戻ってくるから」

っとと言いその場に弟を待たせて道を渡り友達に会いに行った。
2〜3分話していただろうか?

「兄ちゃん」

いつもの弟の声が聞こえて兄は後ろを振り返った。
ギギィィィっと大型トラックのブレイキの音と友達の悲鳴が聞こえ
道の反対側に弟は居なかった

事故からしばらくたち兄の顔に笑顔が戻り始めていた。そんなある日のこと
友達と別れ一人歩く学校の帰り道の事だ

「・・ぃ・・・ち・・・」

兄は何か聞こえた気がしたが気に留めなかった

「・・にぃ・・ちゃ・・」

弟に呼ばれた気がして兄は後ろを振り返った・・・が誰もいない
なんとなく嫌な感じがして兄は帰路を急いだ

「にぃちゃん・・・にぃちゃん・・・」

弟が呼んでる。

「にぃちゃん にぃちゃん にぃちゃん」

弟が死んだ時はとてもとても悲しかった。一人にしてごめんねと謝りたかった
でも今はとても怖い弟が堪らなく怖くて兄は走った

「兄ちゃん」

っあ!っと気が付いた時にトラックの目の前だった
ギギィィィっとトラックのブレイキ音と女の人の悲鳴が聞こえた
兄が最後に目にしたのは真新しい歩行者用信号機と
その下に置かれた枯れた花束だったそうだ
合コンの席で友人Aが始めた話が終わった
友人Aはよく女性の気を引こうとこの手の席で、こういった話をよくする
俺の前の席の子と友人Aの前の席の子には高評だったみたいだ
もう一人の子は友人Bとすでに何処かにいってしまった。

「作り話だろ?なんで死んだやつがその直前に弟の声聞こえたって分かるんだよ?」

そういう話を信じない俺は話を聞いてそう答えた
まあ、深く考えるなよと友人は苦笑いした

「っあ、そうだ俺明日早いからそろそろ帰るよ」

そう言って俺は早々に席を立って自分の分の会計を済ませた

「お客様ガムをどうぞ」

店員が差し出したガムを口放り込んで店を出た

友人Bはよく俺と友人Aを合コンに呼ぶ。もちろん引き立て役としてだ
そして今日みたいに一番可愛い子と何処かに行ってしまう
そして残るのは女性側の引き立て役に呼ばれた妖怪王国、動物帝国の住人達
「なんであいつはダシに使われて、残りカス相手にあんなに頑張れるんだ?ッぺ!」

友人Bより友人Aに怒りを感じた俺は勢いよくガムを吐き出した。その時だ

「ぃ・・ち・ゃ・・」

何か聞こえた気がした・・・気のせいだろう

「・・に・・ぃ・・ち・・ゃ・・・」

さっき友人Aが話していた事が脳裏によぎった
友人Aの奴脅かそうってか・・・携帯にかけりゃ居場所なんか一発で分かる

「おい!今どこに居るんだよ?」
「は?まだ店だけど」
「嘘つく・・・」

言いかけて気づいた・・・近くで着信音はしなかったし友人の声も聞こえない
俺は怖くなった怖くて怖くて堪らなくなって走り出した

「にぃ・・ちゃ・・・にぃ・ちゃ・にぃちゃ・ニぃチゃ!」

「うわああああああああああああああっ ッア!」

全速力で走る俺に声も早くなり追いかけてきた
俺は堪らず叫んだ!その時だ!街頭下で何かにつまずき盛大に転んでしまった

「はぁ・・・はぁ・・・いてぇ・・・・・・・あれ?」

転んだ時に脱げた靴が目にはいった・・・そしてその靴の裏には・・・


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