[白い着物の女]
私は有名な飲み屋街でコンパニオンをしています。 
この話は、お客さんが実際に体験した話です。 
あんまり怖くないと思いますが。 
        
そのお客さんが子どものころ、親戚の四十九日法要があり、家族と共に参列しました。 
法要は無事に終わったのですが、自宅まで帰るにも遠いので、家族全員でその親戚の家に泊めてもらったそうです。 
        
お客さんはその家の子と仲良しだったそうで、家族とは別々に布団を敷き、 
寝ることになったそうなのですが、その部屋というのが、なぜか仏壇がある部屋だったそうです。 
少し気持ち悪いと感じたようでしたが、仲良しの子と一緒だったので、それほど恐怖感はなかったそうです。 
        
その晩のことでした。寝苦しさを感じたお客さんは真夜中に目が覚めたそうです。 
ふと、枕元に気配を感じたので、そちらを見ると、白い着物を着た女性が部屋を横切っているところでした。 
(女性といっても、足元しか見えなかったそうで、足の大きさや形からして女性と判断したらしい) 
それを見たお客さんは恐怖とか悪寒とかそんなことを一切感じず、ただ、「僕のお母さんが様子を見に来てくれたのかな?」 
と思ったそうです。 
        
翌日、そのことをお母さんに聞いてみたのですが、「知らない」の一点張りでした。親戚の伯母さんも「知らない」の一点張り。 
お客さんは「????」と思っていたのですが、よくよく考えてみるとおかしなことに気づいたのです。 
それは、あの晩、白い着物を着ている人なんて誰もいなかったし、そもそも縁起の悪い白い着物を着て寝る人なんていない。 
じゃあ、あれは誰だったのか?? 
後日、お客さんはあの白い着物を着た女性は亡くなった親戚ではないかと思うようになりました。 
きっと、目の前で寝ている子どもたちのことが気になって夜な夜な出てきたのではないかと思います。 
        
以上です。