[間違いない]

この話は私が交通事故の野次馬をしに行ったことから始まる。

某飲料メーカーの搬送トラックが道の脇に停めてあった。
そして路上には 毛布を掛けられた小さな遺体が横たわっていた。
近所のおばさんがひそひそと話している声が耳に入る。

…頭をひかれて 即死やったげな。
…苦しまんかっただけ ましやったんかねぇ。

来なければ良かった、聞かなければ良かった、見なければ良かった。
警察官が 赤、白、桃のパーツを拾い集めて、
黒いビニール袋に入れるのを見届けた。

道路には 随分あとまで 丸い染みが残っていて、
雨で濡れた日には 特にそれが際立った。

しばらく経って、その事故の記憶が薄れてきた頃、
霊感が強いと有名な知人Kが私の家に遊びに来た。
Kと共通の友人であるMが遊びに来た時に部屋の中で撮った写真を見せてみた。

その写真には、いろいろなものが写っていたのだそうだ。
K「この壁のところ、ドラえもんみたいな
  ぼんやりした顔がある。ここにも顔。ここにも写っとる」
私には解らないが、Kにはハッキリとそれらが見えるらしい。
写真を指差して、説明してくれた。
K「でもね、一番気になるのが居ってね、これ。
  (写真の左端を指し、)
  男の子がおるんよ、目つきが悪いから
  良いものじゃないと思うんやけど。心当たり、ある?」
私「3つの時に亡くなった叔父さんがおると聞いてるけど?」
K「んー、その叔父さんじゃないと思うよ。
  もっと大きくて、この子6歳くらいじゃないかねぇ」
私「6歳???そんなん、まるで心当たりがないよ;
  どこかから ついてきたんかねぇ…」

そう言って、はっと気づいた。
もしやその男の子は…、と口に出す前に
Kが「あっ!」と驚いたように声をあげた。
私「何?」
K「(私)ちゃんが『あっ』って言った瞬間に
  男の子の頭が、上の方からスーッと消えてった…」
私「ウッ…じゃあ、間違いないやん」
Kに、あの事故の話を聞かせた。

実話ですよ。


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