[もう通りたくない]

 明け方前バイクで帰宅途中、カーブを過ぎたところに事故直後と思われる
男性が倒れてた。 車の通りも無いだろうし、停まって近づいたけど動かない
声を掛けても反応ない。体をむやみに動かさないほうがいいと、フルフェイスの窓を
開け覗き込んだ、目をかっと見開いたままで、口からはドロドロした血とともに
「グゴ〜〜〜〜ア〜〜〜〜〜〜」
 血でうがいをしてるような低い声が途切れず・・・

肩を揺さ振られ、「大丈夫ですか?」と自分が聞かれてた。
朝もやの中、古びたメットを抱え座り込んでたらしい。もちろん自分独りだけ。
 もうあの道は通りたくない。


次の話

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